最高値目前! 日経平均一時3万8000円台

日興フロッギーNEWS/ 日興フロッギー編集部

2月13日の日本株市場で日経平均株価は3万7963円で引けました。約34年ぶりの高値を更新し、最高値である3万8915円まであと952円の水準にまで迫りました。そこで今回は足元の株価バリュエーション(割高感)の確認と株高の要因を解説します。

日経平均株価は34年ぶりに終値3万7000円台回復

日経平均が前回3万7000円台をつけたのは1990年2月。そこからバブル崩壊、リーマン・ショックなどを経て、一時は7054円の安値を付けました。アベノミクスをきっかけに脱デフレの動きが見られ、足元ではようやく日本でも緩やかなインフレ傾向が定着しつつあることなどから、株価は再び最高値を目指す動きになっています。

「バブル」の色は薄い

では今ふたたびバブルの景気状態になりつつあるのかというと、そうではありません。まずここ数十年の経常利益の推移をみると、1990年度に37兆円だったのが、2022年度には93兆円と2.5倍にも増えていることがわかります。

企業業績の好調さに伴って、株価が上昇することはごく自然な流れです。日本企業の業績が素直に株式市場で好感されているとも言えるでしょう。

PBRは1.43倍

また、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているかを見る投資尺度、「PBR」で見ても割高感があるとは言いづらい状況です。日経平均ベースのPBRは2月9日終値時点で1.43倍。リーマン・ショック以降の水準の中ではやや高いですが、バブル期のような2倍台の水準とは大きく差がある様子がうかがえます。

日本株を押し上げる3つの要因

中長期的な目線で割高感がない中でも、なぜいま日経平均は高値を更新しているのでしょうか。いくつか要因はあると考えられますが、主な要因3つをご紹介します。

①実質賃金プラス転換の可能性
②「利上げ」を急がない日銀
③好調な半導体株

①実質賃金プラス転換の可能性

企業業績が伸び、景気が良い状況とされるのは「適度なインフレ&賃金上昇」です。日本はいまようやくその状況に近づきつつあります。2023年の基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた働く人1人当たりの現金給与の総額は32万9859円(月平均)となり、前年比1.2%増え、3年連続でプラスになりました。ただ、物価上昇率が前年比3.8%と42年ぶりの高い水準になったことから、実質賃金の伸び率はマイナスとなりました。

そんな中、2024年度にはインフレ率が徐々に収まり、実質賃金もプラスに転じる可能性が見えてきました。2023年末に開かれた内閣府の経済財政諮問会議では、2024年度の所得増加率が前年度比3.8%になるとの推計を提示しました。政府経済見通しでは、2024年度の物価上昇率は2.5%。賃上げや1人4万円の定額減税などにより、所得増が物価高を上回る可能性があります。今後の実質賃金に注目していきたいですね。

②「利上げ」を急がない日銀

①の要因に加えて、緩和姿勢を続ける日本銀行の存在があります。物価上昇率が目安である2%を超えていることで、足元では「マイナス金利の解除」が近いうちにあるのではないかとマーケットでは予想されています。

さらにその次の一手が注目されていますが、2月8日に行われた内田真一副総裁の講演では、緩和姿勢を継続することが示唆される内容となりました。その結果、日銀は利上げを「急がない」という見方が広がり、ここ数日の株高につながったものと考えられます。

③好調な半導体株

個別で見れば、世界的に半導体株が大きく上昇していることも、日経平均を押し上げています。代表的な半導体株である東京エレクトロンは2月13日だけでも日経平均を396円押し上げました(株価は13.32%上昇)。

東京エレクトロン
ソフトバンクG
アドバンテスト
ファーストリテイリング
リクルートHD

2月9日に同社が2024年3月期(今期)の連結業績予想を上方修正したのに加え、2024年の前工程製造装置の市場規模の見通しを従来予想から引き上げたことなどが背景になっています。世界的にも半導体ニーズが高まっており、買いが膨らんだ模様です。

主な買い手は「海外投資家」と「事業法人」

足元の買い手は主に海外投資家と見られますが、ここまで継続的に自社株買いなどによって株主還元を続けてきた「事業法人」の買いも見逃せません。2023年初からの買い越し累計額は、海外投資家が7.2兆円に対し、事業法人が5.2兆円に迫っています。

リスクは米金融政策の変更による円高か

リスクがあるとすれば、米国の金融政策の変更による円高進行です。いまのところ、米国では急速な景気悪化などは見られず、利上げによる家計への影響も限定的です。そのため、米国の金利が大きく下がるような局面もなく、為替は円安傾向をたどっています。

もし米国の景気が急速に悪化するなどし、米金利が低下、円高が進行ということになれば、輸出関連企業の業績を押し下げることになります。それによって株価が調整する可能性は頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれませんね。