株式市場で「資産運用」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は4.6%と、東証株価指数(TOPIX、2.7%高)を上回りました(2月22日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
日経平均4万円目前、TOPIXの最高値更新も視野
資産運用関連株が上昇したきっかけは、日経平均株価の最高値更新です。22日に3万9000円台に乗せ、1989年末に付けた史上最高値(3万8915円)を上回りました。
米半導体大手エヌビディアが市場予想を上回る好決算を発表し、指数寄与度の高い半導体関連株などを中心に大幅高となりました。好調な企業業績などを背景に、日経平均4万円の大台突破も目前です。
一方、TOPIX(東証株価指数)は89年12月に付けた最高値(2884.80)を依然として下回っており、次はTOPIXの最高値更新が視野に入ってきています。日本株市場の活況を背景に、資産運用関連株が上昇しました。
三菱UFJと資本業務提携【ウェルスナビ】
上昇率トップは、ロボアドバイザー最大手の「 ウェルスナビ 」です。同社の資産運用一任サービス「WealthNavi」は、ノーベル賞受賞者の理論に基づいて運用。預かり資産は1月に1兆円の大台を突破し、新しい少額投資非課税制度(NISA)の開始を追い風に資金流入が続いています。2月14日には三菱UFJ銀行と資本業務提携すると発表しました。年内に「おまかせNISA」を含むロボアドバイザーの普及加速に向けた提携を強化するほか、総合アドバイザリー・プラットフォームの共同開発を進める予定です。資本面では三菱UFJが約156億円を出資して持ち分法適用会社となったことで、今後の業績拡大が期待されます。
営業損益が黒字転換【岡三ホールディングス】
上昇率2位は、独立系準大手証券の「 岡三証券グループ 」です。2023年4~12月期連結決算は事業会社の売上高に相当する営業収益が前年同期比22%増の608億円、営業損益は101億円の黒字(前年同期は13億円の赤字)に転換しました。堅調な株式相場を背景にトレーディング損益や委託手数料が増加したほか、販管費の削減も寄与しました。
売買代金は活況の目安を大きく超過
「 レオス・キャピタルワークス 」は「ひふみ投信」などを手がける運用会社で、23年末時点の運用資産残高は前期末比5%増の1兆2000億円と順調に増加しています。「 水戸証券 」は関東地盤の中堅証券で、23年4〜12月期の単独営業収益は前年同期比21%増の101億円、営業損益は13億円の黒字(前年同期は2億円の赤字)に転換しました。「 いちよし証券 」は中小型成長株に強みを持つ中堅証券で、23年4〜12月期の連結営業収益は同7%増の135億円、営業利益は59%増の15億円となりました。
大手証券に比べて、準大手・中堅証券は営業収益に占める株式売買委託手数料の比率が高いため、相場の活況度合いが収益に大きく影響します。足元では、東証プライムの総売買代金が活況の目安とされる3兆円を上回り連日で4兆円を超えており証券会社の収益拡大期待が高まっています。(『利益還元に積極姿勢 「中堅・中小証券」関連株が上昇』)
国内外で日本株見直しの動き
日経平均が最高値を更新した背景には様々な要因があると思われますが、需給面では外国人投資家による資金流入が大きいとみられています。株価指数算出の米MSCIが代表的な全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」から中国株66銘柄を一斉に除外したことが話題となるように、外国人投資家は中国株から日本株への資金シフトの動きを強めており、しばらく日本株への資金流入が続くとみられます。
また、東証から上場企業への「資本コストを意識した経営」の要請、企業による資本効率や株主還元を踏まえたアクション、新NISAスタートによる資産運用意識の高まりなども日本株市場にはポジティブな材料です。日本株の上昇や相場の活況で、株式による資産運用機運がさらに高まれば資産運用を手掛ける企業に追い風となりそうです。