新しいNISAで作ろう! 「じぶん年金~米国株編~」

目指せFIRE!おけいどん式 資産形成術/ 桶井 道(おけいどん)西田ヒロコ

本掲載では、前回前々回にて、新しいNISAで日本株および東証ETFに投資して「じぶん年金」を構築することについて紹介しました。おさらいしますと、じぶん年金とは、公的年金では不足する金額をじぶんで用意する「プラスαの年金」のことを言います。新しいNISAを活用しながら、日本や米国の高配当株およびETFで作ることを私はおすすめします。

①じぶん年金~日本株編~
②じぶん年金~東証ETF(日本株)編~
③じぶん年金~米国株編~

今回は③の「じぶん年金~米国株編~」です!

本稿は、私の3冊目の単行本『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎より2023年11月13日出版)を再編集・加筆して作成しています。

成長投資枠で、米国株や米国ETFに投資しよう

米国株を活用するには、次の2つの方法があります。

①米国株の高配当株や増配株に分散投資
②米国ETFで米国の高配当株に投資するタイプに投資

ひとつずつ解説しましょう。

①米国株の高配当株や増配株に分散投資

前々回は日本の個別株への投資を紹介しましたが、米国株の成長が世界のなかで最も魅力的と感じる場合には、この選択が適しています。世界における株式の時価総額ランキングでは、ほぼ米国企業が上位を独占しています。また、私たち日本人の生活にも米国企業が浸透していることから、米国株への投資こそが王道とも思えます。
ただし、配当金は米ドルになり、生活費とするには円転(米ドルを日本円に替えること)が必要です。「今のあなた」には当たり前にできる操作でも、「老いたあなた」が簡単にできるとは限りませんから、その点はあらかじめ注意しておきましょう。その他にも、銘柄分析をするためには英語の資料を読む必要があることや、ドル建て資産なので為替変動リスクがある、といった注意点もあります。また、NISAであっても、配当金に米国側での課税(10%)が発生します。

②米国ETFで米国株の高配当株に投資するタイプに投資

個別株ではどうしてもリスクが上がりますし、投資時に銘柄分析を要し、保有株に対するメンテナンスも必要です。対して、ETFは1本持つだけで分散投資が可能で、運用会社が投資先の入れ替えなどもしてくれますので、メンテナンス・フリーです。ただし、この場合も分配金が米ドルになることや為替変動リスクがあることが、ハードルとして残ります。また、NISAであっても分配金に米国側での課税(10%)が発生します。

おけいどん式! 米国株の銘柄選択法

本記事では、上記①の高配当株や増配株に投資を行う場合を解説します。この場合、個別株を扱うため、銘柄分析が必要となります。銘柄分析の主なポイントを説明しましょう。

(1)時価総額でスクリーニング
(2)配当分析
(3)トレンド分析
(4)市場分析
(5)ビジネス分析
(6)ファンダメンタルズ分析
(7)自社株買いの確認
(8)リスク確認

(1)時価総額でスクリーニング

上述のとおり、無名な企業を独自に探し出す必要はありません。米国には、投資家ではない人も知っているくらいのすでに有名な企業であっても、成長している企業が多く存在します。時価総額が上位にある銘柄に投資しましょう。

(2)配当分析

次の4項目で確認します。

①配当利回り
高いに越したことはありません。連続増配企業であり、増配率が高ければ、配当利回りが2%台でも合格ラインです。私は1%台で投資することもあります。
②増配率・連続増配年数
増配率とは前年に対して、どれだけ配当金を増やしたかを意味します。高い方が優良です。連続増配年数も長いに越したことはありません。米国株なら60年以上も連続増配を続ける企業もあります。
③減配履歴
たびたび減配(配当を減らすこと)する銘柄は配当金が予測できませんから避けましょう。ただし、コロナショックのような特殊要因での減配であれば仕方がないでしょう。そんなときでも配当金を維持しているなら、株主還元意識の高さを評価することができます。
④配当性向
利益をどれだけ配当に充てたかを確認します。一株あたり配当金÷一株あたり利益(EPS)×100で算出します。50%以下が妥当水準と思いますが、米国企業は株主還元意識が高いことに鑑みて、それを超えても容認します。

(3)トレンド分析

5年チャートか10年チャートで株価推移を確認しましょう。チャートが上昇傾向である銘柄に投資してください。下降傾向にある銘柄を選ぶと、損をする可能性が高まります。長期トレンドは簡単には変わらないからです。

(4)市場分析

投資先候補となる企業が事業を行う分野の市場が拡大しているか、縮小しているかを確認してください。市場が拡大しているから、売上があがり、利益があげられ、株価が上昇し、配当金が増えます。逆に市場が縮小しているなら、少なくなるパイの奪い合いが起きて、価格競争に陥る可能性があります。その場合、売上も利益も減り、株価は下落、配当金も減るでしょう。たとえば、世界の人口が増加していることから 需要増加が予想できるヘルスケア分野は、有望分野です。あらゆる機器に使われる半導体分野も伸びるでしょう。

(5)ビジネス分析

投資先候補となる企業がどのような事業をしているのか把握しましょう。事業内容を知らずに投資するのは目隠しして投資するに等しいです。どんな製品を作っているのか? どんなサービスをしているのか?……知りましょう。そして、業界をリードするシェア1位か2位の企業を選びましょう。時価総額1位や2位という切り口でも構いません。もしくは、順位はそれ以下でも、ニッチに稼ぐオンリーワン企業も良いでしょう。

(6)ファンダメンタルズ分析

①売上高・営業利益
売上高が伸びて、営業利益(=本業で稼いだ利益)も伸びている、増収増益の企業に投資しましょう。
②営業利益率
営業利益率は、営業利益÷売上×100で算出します。営業利益率が20%以上あることが1つの目安だと考えています。
③一株あたり利益(EPS)
EPSが伸びている銘柄を選択しましょう。株価は長期ではEPSに連動するからです。
④ROE
企業の経営効率を示します。10%以上は必須です。

(7)自社株買いの確認

企業が自社の株式を買うことを自社株買いと言います。買い戻した後に消却することで発行済み株式数が減少するため、一株あたり利益が上昇して、株価が上がる要因となります。

(8)リスク確認

投資先候補となる企業を見つけると、良い面ばかりに注目してしまう可能性があります。こういうバイアスに陥らないよう気を付けて下さい。必ず、リスク面も確認しましょう。Googleのニュース検索で過去の不祥事の有無を確認しましょう。

これらの分析をすることで銘柄を絞り込みます。すべての項目において100点という銘柄はまずありませんので、妥協は必要です。また、自分なりに分析して合格した優良銘柄に投資するにも、高値掴みをするとパフォーマンスが落ちます。株価が上がり過ぎていないかを確認するために、私は予想PERを使います。予想PER(株価÷一株あたり利益予想にて算出)の推移を確認することで、高値掴みを避けます。

あなたも、新しいNISAの「成長投資枠」を最大限活用して、米国株や米国ETFで「じぶん年金」を作ってみませんか。

日興イージートレードで、米国株情報を入手しよう

最後に、日興フロッギー編集部から、米国株情報についてお知らせします。

日興フロッギーでは米国株に投資ができませんが、オンライントレード(日興イージートレード)で、米国株の情報を入手、売買ができます(NISA口座でのお取引は売却のみ可能)。

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