タイパコスパがいっきに高まる決算書の読み方

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

決算書は隅々まで読んではいけない!? プロ直伝の「最短距離で企業の経営状況を知る19の方法」です。我々にとってなじみ深いグローバル企業の事例も読み応えアリ。

まるで謎解き!? 決算書が一気に身近になる本

いわく決算書には小説のような面白い世界が広がっているのだそうです。話題の企業が「どれだけ儲けているのか」はもちろん「デキる経営者なのか」や「商品を売り切るまで何日掛かっているか」等々も垣間見える。株式投資の際や就職活動のお供、さらに自分で事業を始める場合にも最強の資料となるのが決算書です。数字アレルギーには遠い話に感じるかもしれませんが「エッセンスだけで十分。むしろ決算書はすべて読むなと叩き込まれてきた」との著者の言葉は温かいですね。

そのエッセンスたる営業利益率やROA、ROEや自己資本比率などの「経営分析指標」を図やグラフで解説。ここまでならよくある入門書ですが「小説のような面白さ」を伝えるべく事例が豊富なのが本書です。GAFAやマイクロソフト、ウーバーやネットフリックスなど海外企業60社以上の決算書を俎上に載せます。

たとえば、「アップルはCEOの交代(ジョブスとティム・クック)で稼ぐ力は変わったか?」。規模が大きくなると成長は鈍化するものですが、売上が拡大しても粗利益率・営業利益率・純利益率すべてにおいてジョブスを上回る業績で推移しています。この勝負クックの圧勝でした。ほかに「純資産利益率(ROA)」から見る「リーバイ・ストラウスとアンダーアーマーの経営者、どちらが優秀? 対決」も面白い。同じ資産規模のアパレル業ですが過去の業績まで遡ってみるとコロナ禍の対応に差がつきリーバイ・ストラウスに軍配が上がりました

決算書読みの共通ポイントとしては、単年度の瞬間風速的な数字に惑わされないこと。「過去の業績と比較する」「競合他社の業績と比較する」ことで、業界ごとの特色まで浮かび上がってくるというオマケ付き。謎解きのような著者の解読にワクワクすること請け合いの決算書入門です。