テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「量子コンピュータ」に関するニュースの裏側について、ご紹介します。
量子コンピュータ商用化に向け新会社立ち上げ
2月27日、量子コンピュータの商用化に向けて、「 富士通 」や「 日立製作所 」「 NEC 」など約10社が2024年度に新会社を立ち上げるとのニュースが流れました。記事によれば、2030年度までに新しい方式の高性能商用機の実現を目指すとのことです。
金融や創薬など様々な分野で量子コンピュータ実用化
量子コンピュータをめぐっては、様々な動きが見られます。直近では、富士通が量子シミュレータの量子回路計算を200倍高速化する技術を開発したとの発表が注目されています。
これまで特に材料や創薬など多くの量子ビットを必要とする分野では、膨大な回数の量子回路計算と数百日もの期間を要していました。今回開発した技術により、大規模量子計算のシミュレーションを現実的な時間で完了できるようになるとのことです。
今後、本技術は同社のハイブリット量子コンピューティングプラットフォームに搭載され、金融や創薬をはじめとする様々な分野での量子コンピュータの実用化検討が加速する見通しです。
その他の企業の取り組みでは、「 マイクロ波化学 」は「 テラスカイ 」の子会社で量子コンピュータの研究開発を行うベンチャー企業、Quemix(キューミックス)とシミュレーションソフトウエアを利用した材料開発DX(デジタルトランスフォーメーション)の共同研究を開始しました。
「 三井物産 」は日本・アジア大洋州で量子コンピューティング事業の展開を進めるため、量子コンピューティングをグローバル展開するQuantinuum(クオンティニュアム)社へ出資参画。ユビキタスAIはカナダの量子コンピュータ関連企業・softwareQと販売代理店契約を締結しているほか、耐量子コンピュータ暗号技術の研究開発などにも取り組んでいます。
「 HPCシステムズ 」は、高性能コンピュータ(HPC)や産業用コンピュータ、科学技術計算システムを提供しており、スーパーコンピュータ「富岳」の共同研究プロジェクトにも携わっています。2月26日には第5世代インテルプロセッサー搭載の高性能サーバーを販売すると発表しました。
(出典:日本証券新聞)