気温上昇で春物が好調 「衣料・靴専門店」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「衣料・靴専門店」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は2.3%と、東証株価指数(TOPIX、2.4%安)に対して逆行高となりました(3月15日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

「暖冬」の2月、アパレル業界の月次売上増加

衣料・靴専門店の売り上げが好調です。今年の冬は暖かい日が多く、気象庁によると2月の平均気温は8.0℃と過去10年で3番目に高い水準となりました。一足先に春物衣料を購入する人が増え、各社の月次売上高が前年比で伸びています。さらに新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して初めて迎える卒業や入学・就職シーズンとあって、スーツや革靴といった商品の需要増も追い風になっています。

高価格帯商品が好調【ユナイテッドアローズ】

上昇率首位の「 Uアローズ 」は都心を中心にセレクトショップを展開し、ネット通販にも注力しています。2月の小売とネットを合わせた既存店売上高は前年同月比14.4%増と2カ月連続で増加し、伸び率は1月(0.3%)から大きく拡大しました。物価上昇の浸透もあり、比較的高価格帯のブランドが属する「トレンドマーケット」部門で客単価が上昇したのが寄与しました。

ビジネスウエアの需要高まる【青山商事】

上昇率2位の「 青山商事 」は「洋服の青山」や「ザ・スーツカンパニー」などの紳士服専門店を運営しています。2月の既存店売上高は1.1%増と4カ月連続で前年を上回りました。礼服などのフォーマルウエアやシャツ、ベルトなどの洋品類が好調でした。23年10月からは「洋服の青山」全店でオーダースーツの取り扱いを始めており、春先に向けてビジネスウエアの需要が一段と高まるなかで好業績を期待した買いが続いています。 

総合スーパーへの衣料品供給や新ブランドの立ち上げも

このほか「 アダストリア 」は2月中旬にセブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂に衣料品を供給すると伝わりました。「 ABCマート 」は既存店売上高が2024年2月期を通じて前年同月を上回り業績への期待が高まっています。「 ハニーズHLD 」は3月14日、新ブランド「GLACIER lusso(グラシアルッソ)」の販売を開始。今秋には新店舗の展開を予定しています。これらの銘柄も買われています。 

賃上げ率は33年ぶり高水準、個人消費の増加に期待

3月15日に連合が公表した春季労使交渉(春闘)の第1回回答集計結果によると、平均賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高水準となりました。賃金の上昇は個人消費の追い風になる可能性が高く、衣料品・靴専門店の好調な売り上げは今後もしばらく続きそうです。新型コロナ禍での苦戦を経て、コスト削減やセールの縮小など確実に利益を上げる販売手法を確立した企業も多く、独自の戦略を備えているかどうかが銘柄を見極めるポイントとなりそうです。