生体認証の活用広がる セキュリティ・利便性の向上に寄与

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セキュリティ対策の強化や利便性向上などのためにバイオメトリクス(生体認証)の技術が急速に普及しつつあります。生体認証の技術で強みを持つ日本電気(NEC)を中心に各社の取り組みをご紹介します。 

今年1月、「 NEC 」は、ディスカウントストアを展開する「 トライアルホールディングス 」と顔認証分野で協業すると発表しました。

協業取り組みの第1弾として、トライアルが運営する福岡県宮若市の複数施設で、取引先企業の約500人を対象にNECの顔認証技術を活用した決済と入場管理の実証を開始。顔情報を一度登録するだけで複数サービスでの顔認証の利用が可能になります。両社は将来的に顧客にも顔認証技術を活用したサービスを提供したいと考えているそうです。

今後、小売り大手でこういったケースが増える可能性もあり、顔認証の取り組みが注目されます。 

本人確認やセキュリティなど用途が広い顔認証

生体認証とは指紋や目の虹彩、顔など人間の体の一部を用いて個人認証する技術です。

固有の身体的特徴で判断するため、なりすましや偽造が困難でよりセキュリティが強固といわれています。もちろん、物理的なカギを持ち歩く必要がないので紛失することがありません。特に顔認証は入出国管理や国民IDなど国家レベルでのセキュリティのほか、企業の端末ログオンやオフィスの入退室管理、決済など様々な用途で使われています。

世界トップの精度を誇るNECの顔認証技術

同社の強みは、約半世紀にわたり生体認証に取り組んできたことに裏付けられた技術力です。米国国立標準技術研究所が実施した顔認証技術の精度に関するテストで世界第1位の評価を獲得(2024年2月会社発表)。同社の顔認証は世界約80の空港で導入され、出入国管理や税関検査、搭乗手続きなど様々な用途で活用が広がっています。また、顔認証クラウドサービスの国内登録数が100万に達しました。

さらに、手を使った指紋認証や指静脈認証、虹彩認証など複数の生体要素を顔認証に組み合わせて認証する「マルチモーダル生体認証」でも実績があります。2022年には、顔認証と虹彩認証技術を組み合わせたマルチモーダル生体認証ソリューションの世界初の製品化に成功したと発表しました。

各社多様な取り組みを展開

その他の企業の取り組みとして、東武鉄道 」は「 日立製作所 」の指静脈認証を活用し、指を専用装置にかざすだけで決済やポイント付与、年齢確認ができるセルフレジを2024年4月11日から東武ストアの3店舗で順次導入。「 三菱電機電話発信認証やライフスタイル認証など、複数の認証技術をクラウドで提供する統合認証サービスを開発。「 富士通米国国立標準技術研究所の顔認証ベンダテストのマスク着用カテゴリーで世界3位、国内ではトップを獲得(2021年10月会社発表)。「 パナソニックは、指紋や静脈パターンを読み取って個体を認証する生態認証装置を取り扱い、センサや電池等、利用者のニーズに最適なデバイスを提供。また、「 メルカリアプリ上のログインすべてにパスワードレスの生体認証機能「パスキー」を導入したと1月に発表しました。 

技術の進化に伴い生体認証がますます身近になりそうです。