公示地価 バブル後最大の伸び 

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「公示地価」に関するニュースの裏側について、ご紹介します。

新線効果、インバウンド、TSMC特需など

3月26日、国土交通省による2024年1月1日時点の公示地価公表のニュースが流れました。

全用途の全国平均は前年比で2.3%上昇し、バブル崩壊直後の1992年以降で最大の上昇幅に。全国の住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。コロナ禍からの回復を背景に、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)のみならず、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど全国的に上昇基調が強まっています。

住宅地は三大都市圏や地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)の中心部における地価上昇が周辺部にも波及しています。上昇率トップは北海道富良野市のリゾート地(変動率27.9%)でした。外国人に人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が増大しています。また、鉄道新路線の開業などによる交通利便性の向上により、上昇率が拡大した地点も見られます。

商業地は再開発事業が進展している地域や、インバウンドを含めた観光客が回復した観光地、人流回復が進む繁華街での地価の大幅な回復が目立ちました。中でも、半導体受託製造大手TSMC(台湾積体電路製造)の工場建設による特需は大きく、上昇率1位は熊本県大津町(同33.2%)、2位に熊本県菊陽町(同30.8%)が並びます。

不動産関連企業としては、「 野村不動産HD 」「 三井不動産 」「 三菱地所 」「 住友不動産 」など大手不動産の他、不動産開発の「 サムティ 」、首都圏に強い「 トーセイ 」「 グッドコムアセット 」などが挙げられます。

さらなる金利上昇には要注意

今後も三大都市圏を中心に地価上昇が継続するとの見通しがある一方、足元では金利環境に不透明感が漂っています。仮にさらなる金利上昇が見られる場合、地価上昇ペースが鈍化する可能性があり、動向を注視する必要もありそうです。

(出典:日本証券新聞)