ペロブスカイト太陽電池 軽く薄く曲げられる 実用化へ前進

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3月15日、東京都は「ペロブスカイト太陽電池」を搭載したIoTセンサーを、都庁展望室などに設置すると発表しました。発電性能、耐久性、通信状況などを検証することが目的です。今回は、次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池に焦点をあて、パナソニックホールディングス(以下パナソニック)を中心に関連する企業をご紹介します。

シリコン系と比べて、高機能、製造工程簡略、低コスト

ペロブスカイト太陽電池を巡っては、2023年10月、岸田文雄首相が2025年の実用化を目指すと表明。脱炭素社会の実現に向けた投資促進策の一環で、各社が実用化や量産化に向け競っています。「 パナソニック 」はペロブスカイト太陽電池の発電効率で世界2位といわれているなど実力派の1社です。

ペロブスカイト太陽電池の特徴は以下の通りです。

現在主流のシリコン系太陽電池は、発電層がシリコンでできているため、重量が重く設置場所が限られるという難点があります。それに対して、ペロブスカイト太陽電池は小さな結晶の集合体が膜状になっているため、折り曲げやゆがみに強いとともに、軽く薄く柔らかいことが大きな特徴です。このため「曲がる太陽電池」とも呼ばれます

扱いやすいことから、今まで想定できなかったような場所にも設置でき活用範囲が広がります。また材料をフィルムに塗布・印刷して作るため製造工程が少なく、大量生産が可能で、従来の太陽電池よりコスト面でも優れます。さらに、主な原料となるヨウ素は日本が世界2位の生産量を誇り、サプライチェーン(供給網)を自国で安定的に確保できるのも強みです。

一方、課題としては湿気に弱いこと。また太陽光エネルギーを電気に変換する割合を指す発電効率も現時点ではシリコン製に比べて低いことも課題です。実用サイズでの発電効率の引き上げが課題の1つです。発電効率は実用サイズで約20%とされるシリコン製の実績が目安といわれていますが、パナソニックでは18%台に達したと報じられています。

パナソニックはガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池を開発しており、今後「発電ガラス」としてさまざまな建築物への利用を目指しています。自社開発のインクジェット塗布法は大面積で均一な塗布を可能にしており、レーザー加工技術を組み合わせることでサイズや透過度、デザインなどの自由度を高め、28年までの市場投入を計画しています。

 実用化はいよいよ佳境へ、材料メーカーも得意分野で参

その他の企業の取り組みは以下の通りです。「 積水化学工業 」が開発するペロブスカイト太陽電池は耐久性で強みを持ち、結晶や保護する封止材の性能を高め、耐久性を伸ばしています。同社は25年に事業化を目指しています。 

日産化学 」はプラスの電荷だけを通すことができる「正孔輸送層」の材料で従来品よりも塗布しやすく、電池の大型化や量産時の歩留まり改善につなげる製品を開発しました。

東レ 」は従来品よりコストを抑えたフィルムを応用したい考えのようです。

三菱マテリアル 」はペロブスカイト太陽電池を開発する企業に出資しました。

低コスト化や量産化が進み、扱いやすいペロブスカイト電池が普及していけば、太陽光発電そのものが私たちの生活でより身近な存在になり、町の光景も一変する可能性を秘めています。