株式市場で「中古車販売」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均騰落率は4.5%と、東証株価指数(TOPIX、4.8%安)に対して逆行高となりました(4月19日までの5営業日の騰落)。関連5銘柄とその背景について解説します!
流通の回復と、明るい見通しを「好感」
新型コロナウイルス禍で低迷していた中古車市況が改善に向かっています。自動車販売の業界団体が4月10日に発表した2023年度の中古車の登録・届け出台数は前年度比3%増の645万台で、5年ぶりに増加に転じました。半導体不足による新車の供給制約が解消したのを受け、中古車の流通量も回復しました。
業界大手の中古車販売チェーン「ガリバー」を展開するIDOMが12日、24年2月期連結決算と同時に27年2月期を最終年度とする中期経営計画の上方修正を発表しました。市況回復への期待が高まり、関連銘柄の業績にも期待できるとの見方から物色されました。
中期経営計画を上方修正【IDOM】
上昇率首位の「 IDOM 」は27年2月期の連結営業利益を300億円と、従来目標の210億円から引き上げました。消費者向けの直営店の小売販売台数も17万~19万台と、従来の17万台から上方修正しました。小売りの1台当たりの粗利は41万〜44万円と、24年2月期の41万円以上を目指します。
中古車相場はすでに新型コロナウイルス禍前の水準を上回っており、25年2月期も下落要因が少ないとの見方を示しました。
中古車輸出も強み【アップルインターナショナル】
上昇率2位の「 アップルインターナショナル 」は中古車販売チェーンのほか、中古車の輸出事業が売上高の7割を占めています。同社が主力市場として位置づけるタイは日本車のシェアが約8割を占めます。中長期的には中国との競争激化が懸念されますが、日本企業として中古車の輸出事業を手掛ける優位性はしばらく保たれそうです。
オークション事業なども注目
「 オークネット 」はBtoB(企業間取引)の中古車のインターネットオークションサイトを運営しています。「 オートサーバー 」は中古車販売店向けのオンライン中古車売買プラットフォームを手掛けています。「 ユー・エス・エス 」は中古車のオークション事業のほか、中古車販売チェーン「ラビット」を展開しています。いずれも市況の回復が支えとなり、業績の伸びが見込まれます。
中古車市場をけん引する“Z世代”
中古車市場の回復をけん引したのは、”Z世代”といわれる主に20代を中心とする若者です。調査によると、乗り換え時期が50、60代に比べて早く、平均の購入価格も上回るとのこと。「購入時は価格を抑え、数年で高値で売る」考え方が浸透し、新車購入層が中古車市場に流入。車離れといわれてきた若者の意識が変化し、中古車市場を動かしているといえるでしょう。ユーザーや消費者の意識の変化は投資のヒントになるかも知れません(『オーダースーツ 回復から成長へ 「紳士服」関連株が上昇』)。
ビッグモーターによる保険金不正問題を受け、23年は業界全体に厳しい目線が注がれました。信頼回復に努めながら、若者層をいかに取り込んでいけるかどうかが銘柄選びのポイントになりそうです。