日経平均10万円時代が来る!

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

タイトルに「まさか」と思えど、読み終わる頃には「十分ありうる」へと視座が変わりそう。プロ投資家推薦の成長銘柄も現場感覚たっぷりでA級保存版です。

「日経平均10万円」は絵空事じゃない! 投資の勝ち筋をつかむ本

著者は人気ファンド「ひふみ投信」を立ち上げ、1兆円を運用するプロの投資家です。氏の「日経平均10万円時代」への確信は①インフレで日経平均が上がるのは自明の理であること②「JTC」(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)と揶揄されてきた日本企業の大変革が始まっていること③新興企業の台頭が著しいことゆえ

特に読んでいてワクワクするのが「日本企業の変革」。著者は大企業にこれまで魅力を感じず「ひふみ投信」も中小株・成長株で勝ち上がってきたファンドです。リーマン・ショックや東日本大震災をはさむ10年間でも成長の足を引っ張っていたのは4%を占める大企業だったのだそう(そんな時期でも実は日本企業の7割は株価が上がっていた、という事実にも目からウロコ)。外国人投資家に「日本の経営者は眠くて退屈だよね」と揶揄されるほどで、日本株は長らく期待外の存在だったそうです。

が! 金融庁らによる改革がじわじわと効きはじめ、日本の大企業のガバナンスは大きく改善。トップの交代も相次ぎ「眠くて退屈」どころか、著者をも魅了する経営者が続々と。日本の変革者が実名エピソードで次々登場するのも本書の大きな読みどころで、筆致に熱さを感じます。

経済読み物としても面白い本書ですが、多くの読者のお目当ては「10年後を作る成長銘柄」かもしれません。こちらも出し惜しみなく、東証プライム市場からは住友商事や味の素、日本取引所グループ(盲点だった! と感じる方もいるはず)などを。テンバガー(10倍株)候補としては、宇宙ビジネスのispaceなどを。海外株では、肥満症治療薬の米製薬大手イーライリリーなど。

「日経平均10万円時代」の礎となりそうなビジネスは読むだけで心躍ります。とはいえ、著者は徹底したリアリストでもあります。投資家にとって夢のような「日経平均10万円時代」は物価高とともに訪れて「牛丼一杯1500円になる世界かもよ」と付記することも忘れませんでした。