株式分割は後より「前」が肝心? 分割前後の株価をチェック

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、2018年以降で最多となっている株式分割について解説します。

カエル先生の一言

日経平均4万円台が再び遠のきつつある日本株マーケット。そんな中、株式分割を実施する企業が足元で増えています。その背景や、株式分割を実施した企業の株価推移の特徴などをチェックしてみましょう。

4月の日本株市場

4月30日の日経平均株価は3万8405円、前月末比1964円安でした。底堅い米国景気を背景に利下げ期待が後退したことや、中東情勢の緊迫化などにより、株価は下落しました。また、4月29日にはドル円が急変動しました。市場では為替介入の可能性が言われており、今後の為替動向に注目が集まっています。

株式分割社数は昨年の2倍

「投資単位を50万円未満にしてほしい」という東証からの要請や、2024年から始まった新しいNISAなどを背景に、株式分割を実施する企業が増えています。2024年3月末に株式分割を実施した上場企業は62社。1年前と比べて倍以上に増加しており、2023年度の発表社数は売買単位が100株に統一された2018年以降で最多となりました。

カエル先生の一言

株式分割とは、1株を2株、5株、10株などに分割することを言います。その分株価は2分の1、5分の1、10分の1……となります。フロッギーでは100円から金額指定で株が買えますが、一般的には株式の売買は100株単位で行われます。このため株価が高いと、それだけ最低投資金額が大きくなります。分割によって株価水準が低くなれば、それだけ多くの人が買いやすくなるのです。

分割銘柄は「分割前」が狙い目?

一般的に、株式分割をすると株価水準が下がり、株価を理由に買えなかった投資家が購入できるようになります。その結果、株価×出来高で算出される売買代金などが増加すると言われています。一方、株価推移について見てみると、株式分割を実施した後よりも、株式分割が行われる前のほうが相場平均よりも底堅く推移する傾向がありました。ここでも「思惑(期待)で買って、事実で売れ」という株の法則が当てはまるのかもしれませんね。

5月~9月の株式分割予定銘柄はコレ

そこで今回は、これから株式分割を予定している企業をご紹介します(2024年4月30日判明時点)。

5月は国内外でアミューズメント施設の運営を手掛ける「 GENDA 」など5社、6月は福井県地盤のドラッグストアを運営する「 Genky DrugStores 」や、建築・産業向けポンプを手掛ける「 荏原 」など6社、8月は半導体製造工場向け機器を製造・販売する「 ローツェ 」など2社、9月は携帯通信国内第3位の「 ソフトバンク 」が株式分割を予定しています。
佐藤渡辺
IGポート
テンダ
Macbee Planet
勤次郎
タムロン
エリアリンク
西本Wismettacホールディングス
高島屋

もちろん個別銘柄への投資に関しては、企業業績の先行きが一番重要です。ただ、業績や事業環境と併せて、こうした財務イベントをきっかけに、自分の知らなかった銘柄をチェックしてみてもよいかもしれませんね。