テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「SX銘柄」に関するニュースの裏側について、ご紹介します。
SX=サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄
4月24日、経済産業省と東証は、持続的に成長し、企業価値向上を実現している先進企業、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)銘柄」を初めて発表しました。
これまで、「健康経営銘柄」「DX(デジタルトランスフォーメーション)銘柄」など両者が選定した銘柄は業績や株価が好調なケースが多く、「SX銘柄」にも期待がかかります。
国や東証は企業の資本効率性向上や長期的な企業価値向上を促進しており、昨年から市場で話題になっている「PBR1倍割れ対策」もその流れに沿っています。
また、気候変動、地政学リスクなどが複雑化するなか、投資家との建設的な対話、開示、ESG(環境・社会・企業統治)対応などを含んだSXの視点による事業再編や長期成長に向けた投資も重要となってきています。
このため、経産省では企業、投資家、有識者による研究会を設立し、ROE(自己資本利益率)8%以上を提言して話題となった「伊藤レポート」のSX版を発表したわけです。
SXが今後の経営に必要不可欠として、先進的な企業を選定。国内外の投資家などとの対話、エンゲージメントを促進し、投資拡大、市場での日本企業の評価向上を図っていく方針です。
持続的に成長し、企業価値向上を実現している15の先進企業
SX銘柄として15の企業が選定されました。例えば、「 日立 」は事業ポートフォリオの見直し、親子上場の解消、人的資本に関する戦略の改革など、多くのトランスフォームを実行。経営陣の多様性と人材戦略に整合性がとれ、総合的に時代にあったサステナビリティの戦略を構築していることが評価されました。
「 JAL 」は長期戦略、ビジネスモデル、目指す姿は整合性があり、必要な人材戦略、DXを構築中であること。また実行のための中期経営計画ローリングプランの説明が、航空業界の抱える課題を捉えてなされていて、「価値向上の期待が感じられる」などの理由で選定されました。
また、「 ユニ・チャーム 」は2030年までの中長期目標で企業の進むべき方向性を明示し、事業戦略の中心に据えています。同時に衛生問題、使用済み紙おむつのリサイクルといった社会、環境課題への取り組みを明確に説明している点が評価されました。
表彰式は5月24日、東京で行われ、日米投資家、企業代表によるパネルディスカッションなども行われる予定です。
その他、SX銘柄に選定された企業は、以下の通りです。
「 明治HD 」「 キリンHD 」「 味の素 」「 東京応化 」「 第一三共 」「 富士フイルム 」「 ブリヂストン 」「 ダイキン 」「 オムロン 」「 三井物産 」「 東京エレクトロン 」「 KDDI 」(銘柄コード順)
「SX銘柄2024」の概要、各企業の取り組みについてはこちらをご参照ください。
(出典:日本証券新聞)