隙間時間に働く「スポットワーク」という新しい働き方が広がりつつあります。副業を解禁する企業が増えてきたことが理由の一つにあるようです。今回はスポットワーク事業に参入したメルカリを中心に関連する企業を紹介します。
メルカリがスポットワーク事業に参入
4月16日、フリマアプリを運営する「 メルカリ 」がスポットワークのサービス「メルカリ ハロ」を同日から全国展開したと発表しました。
スポットワークとは、隙間時間や1回限りなどの単発で働くこと。メルカリが参入したサービスは、こういった短時間で効率よく働きたいスポットワーカーと、人手不足などに悩む企業をマッチングするビジネスです。
・隙間時間や1回限りなどの単発で働くこと
・企業との雇用関係がある
(似たものとしてネットを通じてデリバリーなどを行う「ギグワーク」がある。「ギグワーク」は仕事を請け負う業務委託が多いと言われる)
「メルカリ ハロ」は本人確認や銀行口座を登録すれば面接や履歴書不要で、最短1時間から大手事業者の職場で働くことができます。3月に1都3県の求人を掲載したところ、登録者数が開始から約1ヶ月で250万人を突破するなど反響が大きかったことで全国展開を決めました。
企業サイドでは既に「 ヤマトホールディングス 」傘下のヤマト運輸が利用しています。物流業界は、トラック運転手の残業時間が規制される「2024年問題」の対応に追われています。同社は、「メルカリ ハロ」の求人募集パートナーとなっています。
メルカリはスポットワーカー向けに新たなサービスの展開も予定しています。給与のデジタル払い事業を通じて、コード決済の「メルペイ」でスポットワークの給与を受け取る仕組みを作る方針です。働いてすぐに給料を受け取れるのは利用者にとって利便性が高く、メルカリとしても自社の決済サービスの利用定着につながるといったメリットがあります。
「働き方改革」をテコに市場が拡大
働き方に変化が起きたきっかけの一つは、政府による「働き方改革」です。2018年、企業が作成する就業規則に盛り込む規程が変更されました。具体的には、企業が就業規程を作成する際に参考にする「モデル就業規則」から、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除。これにより、副業・兼業が実質的に解禁され、副業を認める企業が増え、人々の働き方が多様化してきています。
こうした働き方の変化を受けて、メルカリだけでなくスポットワークの仲介事業に参入する企業が増えています。
「 リクルートホールディングス 」傘下のリクルートは2024年秋にスポットワーク求人サイト「タウンワーク スキマ (仮称)」を立ち上げる予定と5月に発表しています。
マイナビと業務提携して「 LINEヤフー 」が運営する「LINE スキマニ」ではLINEでプロフィールなどの情報を入力すればサービスを利用できます。同サービスも給与は原則LINE スキマニ内に勤務後に即時反映され、口座から自由に引き出せる仕組みになっています。
そのほか、人材派遣大手の「 パーソルホールディングス 」が手掛けるスキマバイトアプリ「シェアフル」のダウンロード数が650万を突破するなど需要が高まっています。
業種によって人手不足は恒常化しそうなうえ、働き方の多様化も一段と広がる可能性が高く、スポットワーク市場の拡大は続きそうです。