年間配当金の「目標額」を設定する4つのプロセス

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ 配当太郎クロスメディア・パブリッシング

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、年間配当金の「目標額」を設定し、そこに向かって計画的に投資を進めていく考え方について、著者の配当太郎さんと一緒に見ていきましょう。[PR]

年間配当金の「目標額」を設定しゴールを目指して計画的に行動する

配当株投資の一番の楽しみは、受け取る配当金が毎年、着実に増えることです。そのためには、漠然と企業の増配を待つのではなく、「自分から積極的に増配を取りに行く」ことが重要です。

毎月の給料や年金の他に、月々20万円の収入があれば、私たちの生活は格段にラクになりますから、私はこの状態を、配当株投資の「理想郷」と考えています。企業の増配を待つだけの「ディフェンシブ」(守備的)な投資を脱して、増配を自ら取りに行く「オフェンシブ」(攻撃的)な投資スタイルを手に入れることが、この「理想郷」にたどり着くための第一歩だと思います。

それを可能にするのが、自分のライフスタイルに合った年間配当金の「目標額」を設定して、そこに向かって計画的に配当株投資を進めていくことです。目標設定までのプロセスは、次の4つになります。

プロセス① 今期の配当株投資の「枠組み」を考える
プロセス② 自分の予算と相談しながら株を買い進める
プロセス③ 企業の決算発表で配当金を確認する
プロセス④ 決算発表に応じて、この先の行動目標を見直す

それぞれのプロセスを解説していきましょう。

・プロセス① 今期の配当株投資の「枠組み」を考える

年末年始の休みなどを使って、「今期の配当株投資の進め方」を考える習慣を持つことがスタート地点となります。これから配当株投資を始める人であれば、「自分がどのくらい新規投資できるのか?」を考えてみることです。すでに配当株投資を始めている人であれば、自分が今期中に得られる配当金の目安がわかっていますから、その額と相談しながら、実現可能な新規投資額を計算することから始めます。

・プロセス② 自分の予算と相談しながら株を買い進める

今期のキャッシュフローの全体像が把握できたら、そのスケールに応じて、企業の株を買い進めていくことになります。100株単位の単元株を買うこともあれば、企業によっては1株でも購入することができますから、自分の予算と相談しながら、淡々と買っていくことが大切です。

・プロセス③ 企業の決算発表で配当金を確認する

今期の配当株投資をスタートさせて、株を買い進めていると、企業の決算発表の時期がやってきます。あらためて、決算発表とは、上場企業が直近の業績や財務状況を開示するもので、その内容は、決算期(企業の事業年度の最終月)からおおむね45日以内に「決算短信」として発表されます。日本企業では、4月から翌年3月までを1年度として、年度末となる3月に「本決算」をする企業が最も多く(3月期決算企業)、それらの企業の決算短信が出るのは4月から5月にかけてとなります。その決算発表の内容を確認することによって、自分が買って持っている企業の株の前期の配当金がいくらであり、今期はいくらになるのかという配当予想を知ることができます。この2つが出揃うことで、自分の今年の配当金の全容が見えてきます。

・プロセス④ 決算発表に応じて、この先の行動目標を見直す

決算発表の内容を確認して、自分が想定していた以上に増配があって、増配の恩恵を大きく受けられるようであれば、この段階まで無理をして自己資金を投入してきた人は、その投資額を抑えることができます。無理なく自己資金が用意できるという人の場合は、引き続き積極的に株を買い進めていけば、目標とする年間配当金を引き上げることが可能になり、早く目標に近づくことができます。

1年を通して「計画」→「実行」→「修正」→「実行」→「修正」を続けていくことが、配当株投資の「肝」となります。この流れを「仕組み化」しておけば、「自分が何をすべきなのか?」という行動目標が明確になって、モチベーションがアップするだけでなく、「どの銘柄をどのくらい買うか?」と迷う必要がなくなります。

こうしたサイクルを回して、決算期ごとに、「目標設定」→「クリア」→「目標設定」→「クリア」を繰り返していくことが、自分の目指すゴールを引き寄せることになります。

このサイクルがイメージできたら、次は年間配当金の目標額を決めるステージに進みます。

「目標配当額」は対前年比10~15%アップを目指す

年間配当金の目標額を決める際には、毎期「10%」から「15%」くらい配当金を増やすイメージを持つことが大切です。

配当株投資によって雪ダルマ式に利益が積み上がるイメージを、私は「配当金ダルマ」と呼んでいます。10~15%の配当金アップを目指せば、複利効果によって、「配当金ダルマ」は大きく成長することになります。「72の法則」に当てはめて考えれば、10%で7年強、15%であれば5年足らずで配当金は2倍に増える計算です。

配当株投資を始めている人であれば、「毎期10%も配当金を増やすなんて、現実的ではない」とか、「絶対に不可能だ」と思うかもしれませんが、それは「自己資金による追加投資」だけで、すべてを賄おうとしていることに原因があります。

一番の問題は、配当株投資の醍醐味である「増配」を見落としていることです。この毎期「10%」から「15%」という数字は、

①企業による増配
②配当金からの再投資
③自己資金による追加投資

という「3つのエンジン」を稼働させたことによるトータルの配当金の増え方を指しています。これら「3つのエンジン」には、次のような関係性があります。

・関係性①……「企業による増配」が十分に機能すれば、「配当金からの再投資」と「自己資金による追加投資」は必ずしも実行する必要がない
・関係性②……「企業による増配」が機能して、「配当金からの再投資」を実行すれば、「自己資金による追加投資」を圧縮することが可能
・関係性③……「企業による増配」が機能して、「配当金からの再投資」と「自己資金による追加投資」を実行すれば、目標達成までの期間が短くなる
・関係性④……「企業による増配」が機能せず、無配や減配の場合は、「自己資金による追加投資」を実行する

この関係性を見れば一目瞭然ですが、何よりも大切なのは、「企業による増配」がしっかりと機能することです。そのためには、業績が安定していて、1株益が上昇しており、株主に配当金を分配する姿勢を貫いている「増配銘柄」を買い続けて持ち株数を増やし、増配の恩恵を継続的に受けることが大切です。

自分のライフスタイルや金銭事情にあわせて増配銘柄を買い進め、「3つのエンジン」を上手に働かせる工夫を続けることが、無理なく目標を目指すコツといえるでしょう。

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