ランニングシューズで世界を駆ける アシックス

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。6月号では国内最大のスポーツ用品メーカーの「アシックス」が新規採用されました!
早速、アシックスの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

スポーツを通じて人々の健康をサポート「アシックス」

世界的に人々の健康志向が高まるなか、なにか運動を始めたいという人もいるでしょう。運動のなかでもランニングやフィットネスは新たに始める運動として敷居が低く、参加人口の堅調な増加が見込まれています。それに伴い、ランニングシューズをはじめとしたスポーツシューズへの需要の高まり、市場の安定的な拡大が期待されています。ドイツの調査会社Statistaによると、アジアでの成長が牽引役となり、世界のスポーツシューズ市場は2028年までの今後5年間で年平均4.1%の成長が予想されています。

そこで活躍が期待されるのが、今回仲間入りした「 アシックス 」です。

世界的に知られる国内最大のスポーツ用品メーカー

アシックスは国内最大のスポーツ用品メーカーです。1950年、前身である鬼塚株式会社が「バスケットボールシューズ」を発売して以来、スポーツシューズの開発・製造に取り組んでいる同社は、特にランニングシューズに強みを持っています。早くから海外展開を進めていたこともあり、日米欧の主要エリアでは、ナイキやアディダスと並ぶほど知名度が高いです。なお、同社はカジュアルシューズも展開しており、なかでも「オニツカタイガー」ブランドは中華圏や東南アジアで人気を集めています。

海外売上高も順調に伸びており、2023年12月期の海外売上高比率は80.5%と高い割合を示しています。市場拡大の余地が大きい中華圏でも堅調に売上を伸ばし、2018年12月期に10.4%だった中華圏での売上高比率は、2023年12月期には13.6%と5年間で3.2%上昇。スポーツシューズ市場拡大の追い風が吹くなか、同社は知名度、ブランド力、販路などにおいて、国内競合他社と比べても優位性があると考えられます。

売上増×収益性改善で利益成長加速へ

売上増や収益性改善に向けた同社の取り組みにも注目です。同社はコロナ禍より、ECのようなデジタル分野への取り組みや販管費コントロールの徹底など、収益性の改善に努めています。これらの取り組みが奏功し、2022年12月期、2023年12月期と2期連続で売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました

2024年12月期を初年度とする新中期経営計画「中期経営計画 2026」では、日米欧のランニングシューズ市場でのトップシェア獲得や中華圏市場の更なる開拓といった主力分野・成長市場の強化、規律ある経費コントロールの推進などを打ち出しています。最終年となる2026年12月期には営業利益800億円以上を目指す計画です。

株式分割や増配でファン獲得にも意欲的

2024年12月期第1四半期(1~3月)は、主力のランニングシューズが全体を牽引したほか、インバウンドの回復も寄与し、オニツカタイガーも大幅に伸長。その結果、売上高が前年同期比14.3%増、営業利益が同52.9%増と大幅な増収増益となりました。いずれも四半期ベースでの過去最高を更新し、好調に走り出しています。

同社はアシックスファンの個人株主を増やすことを目的に、2024年6月30日を基準日として普通株式1株を4株とする株式分割を行う旨を決算発表同日に発表。それに伴って2024年12月期の配当予想額を修正し、前回の予想と比較すると、株式分割前換算で年間10円の増配を見込んでいます。株主優待の拡充も予定されており、ますます同社を応援したくなりますね。

アスリートから一般ユーザーまで愛されるトップランナーに

国内最大のスポーツ用品メーカー「アシックス」。多くのアスリートにも着用され、日米欧を中心に高い知名度を誇っています。世界的な健康志向の高まりなどを背景に、主力のランニングシューズ市場は安定的な拡大が予想され、追い風が吹いています。収益性改善にも注力し、ますますスピードを上げて邁進する同社を、力強く応援したいですね。

今月号はニデック(6594)を除外しました。 同社の独自のEV用駆動モータシステムE-Axleは、売上高の堅調な増加が続いている一方、熾烈な価格競争の中で収益性の改善が遅れています。EVの普及が今後一層加速する中、同社の技術優位性が強みとの見方は変わらないものの、成長戦略に不透明感が生じたことから判断しました。