テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「グーグルの光海底ケーブル」に関するニュースの裏側について、ご紹介します。
米グーグルが光海底ケーブルでアフリカとオーストラリアを結ぶ計画を発表
5月24日、米グーグルがアフリカとオーストラリアを光ケーブルで結ぶ「Umoja」計画を発表したというニュースが流れました。
このニュースを受け、日本株市場では、国際的な光ケーブル需要が高まることを期待し、「 古河電工 」「 住友電工 」「 フジクラ 」「 SWCC 」の電線メーカーや、海底ケーブルシステムのベンダーとして世界3強の一つに数えられる「 NEC 」などの株価が上昇しました。
「Umoja」はスワヒリ語で団結を意味します。ケニアを出発点として、ルワンダ、ジンバブエなどを陸路で通り、南アフリカから海底ケーブルでインド洋を横断して、オーストラリアへとつなぐ構想です。陸路ではほかの国々がネットワークを活用できるようにすることで、アフリカの国々同士、さらに世界の他の地域と確実につながるようになるといいます。
グーグルは2007年にケニア・ナイロビにオフィスを開設して以来、アフリカ各国の政府と提携してきており、今回もケニアの情報通信省との提携を発表しています。また、2021年に5年間でアフリカに10億ドル(約1,500億円)を投資することを明らかにしており、この結果、アフリカに300億ドル以上の経済効果があり、2025年までにアフリカのインターネット経済は1,800億ドルに成長する見込みです。
グーグルは4月には海底ケーブルで日本とハワイやグアムをつなぐ2つのプロジェクトを発表し、日米のデジタル接続を強化する意向を示しました。10億ドルを投資し、日本からはNECや「 KDDI 」などが参加します。
世界規模の光海底ケーブル敷設は日本の電線各社の業績にも追い風
生成AIの普及や通信高速大容量化で、世界的に回線がひっ迫。その対応となる世界規模の光ケーブル敷設は電線各社の業績の追い風となります。
古河電工は今3月期に、米政府のBEADプログラム(ブロードバンドインフラへの補助)などで北米のファイバ・ケーブル需要が回復し、顧客の在庫調整が解消することも想定されます。さらにデータセンタ関連の受注が増加することから、インフラの情報通信ソリューション事業は70億円の赤字改善を見込んでいます。
また、NECはグーグルの日米間のプロジェクトのほか、米メタ(旧フェイスブック)の大西洋横断海底ケーブルも受注しており、商機を太平洋からワールドワイドに拡大しています。
(出典:日本証券新聞)