株式市場で「アップルサプライヤー」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は1.9%と、東証株価指数(TOPIX、0.4%高)を上回りました(7月12日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
現行機を上回る出荷目標
米アップルに部品を供給するサプライヤー銘柄が買われたきっかけは、米調査会社の8日付(米国時間)のレポートです。
同レポートは2024年下半期に株価上昇が予想される銘柄の一つにアップルを挙げました。その中で、今秋に発売するとみられる「自社開発の生成AI(人工知能)サービス『アップルインテリジェンス』が搭載される新型スマートフォン(スマホ)『iPhone16』が消費者に支持されるだろう」との見方を示しました。
10日(米国時間)には、iPhone16の年内の出荷目標を少なくとも9000万台とする方針が伝わりました。昨年発売の現行機種「iPhone15」を約10%上回る水準といいます。アップルのサプライヤーの業績にも寄与するとの期待が高まりました。
ティム・クックCEOも絶賛【ソニーグループ】
上昇率首位の「 ソニーグループ 」は日本国内における最大のアップルサプライヤーで、「iPhone」のカメラに使う画像センサーを10年以上も供給しています。22年にはアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が熊本県にあるソニーのイメージセンサー工場を訪問し、ソニーの製品を「世界最高水準のカメラセンサー」などと評価しています。「iPhone16」にもソニー製のイメージセンサーが使われれば、業績への寄与が期待できます。
コネクターに強み【ヒロセ電機】
上昇率2位の「 ヒロセ電機 」は電子機器が正常に作動するために部品をつなぐ「コネクター」を手掛けています。スマホ向けは24年3月期で売上高全体の約2割を占める主力事業です。スマホ・携帯端末向けの25年3月期は前期から13%の増収を見込んでいますが、「iPhone16」の売れ行きが好調だと、さらなる上振れが見込まれます。
20年来のサプライヤーも
「 デクセリアルズ 」はスマホやパソコンのディスプレイに使われる反射防止フィルムや電子部品の接着剤などを手掛けています。
「 フジクラ 」はスマホの配線に使うフレキシブルプリント基板(FPC)を製造しています。
「 日東電工 」は20年以上にわたってアップルサプライヤーで、複数製品のディスプレイ用偏光板を生産しています。いずれもアップルがサプライヤーとして社名を公表しており、同社の動向により物色される可能性があります。
アップル株価も上場来高値
アップルの生産や販売の回復期待から、アップルサプライヤーが物色されるケースは過去にもありました(『上海ロックダウン解除 アップル関連株が上昇』)。
足元では、生成AI機能を搭載した新型iPhoneなどへの期待が高まっており、アップル自身も10日にかけて連日で株式分割を考慮したベースの上場来高値を更新しました。新製品の売り上げが好調で、業績が市場予想を上回るような結果になれば、サプライヤーも一段と上値を追う公算が大きくなります。アップルを巡るニュースや同社の決算発表は要注目ですね。