相場の転換点か 「円高メリット」関連株に底堅さ

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株式市場で「円高メリット」関連株に底堅さが見られます。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は0.6%と、東証株価指数(TOPIX、5.6%安)に対して逆行高となりました(7月26日までの5営業日の騰落)。関連5銘柄とその背景について解説します!

多くの商品が海外生産

円高メリット関連株が底堅い背景は、為替の円高進行です。日銀の追加利上げと米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げへの思惑がそれぞれ強まっているのを受け、25日には一時1ドル=151円台後半と約2カ月半ぶりの円高・ドル安水準となりました。 

円高メリット関連企業は、一般的に海外から物品など輸入し国内で販売する企業などです。新型コロナウイルス禍以降の円安進行や物価の高騰によって、関連銘柄の採算は悪化していました。多くの商品が海外で生産されており、円安で輸入時に割高となるためです。

足元で業績はようやく回復傾向にあります。日米の金利差縮小を意識した円買いが進み、利益率の回復が期待できるとの見方から円高メリット関連銘柄が底堅く推移しました。

100円堅持が奏功【セリア】

上昇率首位の「 セリア 」は3月末時点で、全国に1986の直営店を展開しています。既存店売上高は最新データが公表されている6月末まで8カ月連続で前年同月を上回っており、回復基調が続いています。コスト増加が利益を圧迫する足元でも100円(税抜き)均一価格を堅持しており、「100円商品目当ての場合は当社に来店し、300円、500円の商品は同業他社に買いにいく使い分けが強まってきた」(河合映治社長)と独自路線が功を奏しています。採算が改善すれば、さらなる成長が期待できそうです。

円安で為替差損800億円【ニトリホールディングス】

上昇率2位の「 ニトリHD 」は商品の約9割を海外からの調達に頼っています。円安による採算の悪化で、2024年3月期連結業績は、売上高が前期比6%減、純利益が9%減(決算期変更のため、23年3月期は13カ月11日間の変則決算)と36期続いていた増収増益がストップしました。似鳥昭雄会長は24年3月期までの2年間で為替差損が800億円に膨らみ「100年に1回あるかないかの状況」と嘆いていました。円安基調が反転すれば収益改善に直結しそうです。

円安で値上げを強いられた例も

ワークマン 」は作業着などの自社製品を中国やミャンマー、ベトナムなどで製造しています。円安による仕入れ価格の高騰により、商品の見直しや値上げを強いられました。

パルGHD 」は300円の雑貨類を主体とする「3COINS(スリーコインズ)」を展開しています。全体の約8割を大型化し、店舗運営の効率化による利益率の向上を目指すと伝わっています。

神戸物産 」は世界に350超の協力工場があり、約50カ国から食材などを輸入しています(23年11月末時点)。 

節約志向で売り上げは拡大

円高メリット銘柄の一角である100円ショップは、円安の影響で採算こそ悪化したものの、売り上げ自体は増加基調です。背景には、物価高騰で高まっている消費者の節約志向の取り込みがあるそうです。

円高が進行すれば、関連銘柄の採算は改善し、価格競争力の強化につながる公算が大きくなります。継続的な物価上昇が続くなかで、販売価格の維持や値引きができれば消費者を引き付けるのに寄与し、一段の成長に期待できそうです。長く続いた歴史的な円安局面では、自動車を中心に円安メリットを享受し、市場でも物色されました(『販売好調と円安で収益拡大期待 「自動車」関連株が上昇)。円安は反転するのか、関連銘柄の動向とともに注目されそうです。