マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、2024年11月5日(火)に行われるアメリカ大統領選挙について解説します。
4年に一度行われるアメリカ大統領選挙。投票は各州と首都ワシントンで行われ、勝利した候補者は各州と首都ワシントンに割り当てられている「選挙人」を獲得していきます。全選挙人のうち過半数以上を獲得した候補者が次期大統領となります。2024年の大統領選挙は、共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領の対決となる見込みで、両者が掲げる政策や発言には要注目です。
7月の日本株市場
7月31日の日経平均株価は3万9101円、前月末比481円安でした。11日は終値が4万2224円となり、3日連続で史上最高値を更新。前日にFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言による早期利下げ期待からアメリカ株が上昇し、この流れを受けて日本株も幅広い銘柄が買われました。
18日には、ドル円が一時155円台とおよそ1ヵ月ぶりの円高水準となりました。トランプ前大統領がドル高の是正を訴えるなか、17日のメディアインタビューで河野太郎デジタル相が利上げの必要性に言及したと伝わりました。日米の金利差が縮小に向かうとの見方から、円買い・ドル売りが加速しました。
24日のアメリカ株市場では、アルファベットやテスラの四半期決算発表をきっかけに主力ハイテク株が軒並み下落。また7月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを検討しているとの一部観測報道をきっかけに、ドル円は一時151円台と急速に円高が進行しました。これらを背景に、25日の日本株市場では終値が前日比1285円安と、7日続落。今年最大の下落率、下落幅となりました。
バイデン大統領が選挙戦から撤退
21日には、バイデン大統領が11月の大統領選挙から撤退すると表明。大統領の職務は2025年1月の任期まで全うし、後継候補にハリス副大統領を支持すると明らかにしました。
ハリス副大統領は1964年生まれの59歳で、2021年にアフリカ系アジア系女性として初めて副大統領に就任。アフリカ系初の大統領はオバマ元大統領ですが、ハリス副大統領が後継候補に選ばれれば、女性及びアジア系として初めての大統領を目指すことになります。政策面では、基本的に現副大統領として現行のバイデン大統領の政策を継承すると見込まれています。ただ、バイデン大統領とは人種や性別、年齢などにおいて違いがあることから、バイデン大統領とは異なる支持層を獲得する可能性がありそうです。
なお、バイデン大統領とトランプ前大統領の政策の違いとしては、財政やエネルギー、外交面などが挙げられます。
トランプ減税が継続すれば経済成長が押し上げられる一方、財政赤字はより拡大が見込まれます。また、バイデン大統領はEV(電気自動車)の普及や再生可能エネルギーの推進などに補助金を投じてきましたが、トランプ前大統領は雇用を生み出すため、石油・天然ガス産業を後押しすると主張しています。対中国においては、強硬的である点は共通しているものの、トランプ前大統領は大胆に関税を利用する意向です。
足元では、トランプ前大統領の再選で恩恵を受けそうな銘柄を物色する「トランプ・トレード」の動きは一服。アメリカと中国など国家間の緊張が高まり、各国の防衛支出が増えて収益が拡大するとの思惑で買われた防衛関連株などは利益確定売りに押されました。今後はハリス副大統領がどのような政策を打ち出すか、注目が集まりそうです。
2016年の選挙を振り返ると……?
参考までに、2016年の大統領選挙を振り返ると、当時の日本株は金融株や石油関連銘柄が騰落率の上位にランクインしていました。トランプ大統領(当時)が掲げた大型減税や金融規制の緩和、エネルギー政策の転換などを期待して買われた様子がうかがえます。
11月5日の選挙まであと3ヵ月。大統領選挙が経済や金融市場にどのような影響を及ぼすか、注意深く見守りたいですね。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
野村HD
アドバンテスト
りそなHD
第一生命HD
ルネサスエレクトロニクス
三菱重工業
丸紅
ENEOSホールディングス
SOMPOホールディングス
SUBARU
レーザーテック
ソフトバンクグループ
日本製鉄