株式市場で「おもちゃ」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は6.2%高と、東証株価指数(TOPIX、2.1%安)に対して逆行高となりました(8月9日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
決算を好感し上場来高値更新
おもちゃ関連株が買われたきっかけは、株式相場が大きく乱高下する中で好感された良好な決算発表です。
TOPIXや日経平均など主要株価指数は、8月に入り3日連続で大幅に下落した後、2日連続で反発するなど歴史的な大荒れの展開となりました。そのなか、8月2日にサンリオが2024年4~6月期決算を発表。大幅増収増益を達成しただけでなく、2025年3月期通期会社予想を上方修正し、増配も決定。これを好感し株価は上場来高値を更新しました。他のおもちゃ関連企業も決算を発表。いずれも好決算で買いが広がりました。
キャラクター人気高まる【サンリオ】
上昇率首位は、「ハローキティ」などの定番キャラクターを多数抱える「 サンリオ 」です。24年4~6月期連結決算は営業利益が前年同期比80%増の107億円と四半期では初めて100億円を突破。国内でインバウンド需要が想定以上に強かったほか、海外でも「ハローキティ」を筆頭にサンリオキャラクターの人気が高まりました。
好調な業績を受け、25年3月期の会社予想通期営業利益は前期比38%増の371億円(従来予想は300億円)に上方修正。加えて配当も37円(期初予想27円)へと増配されました。サンリオキャラクターのグローバルSNSフォロワー数が7600万超に達するなど、ファン層は着実に拡大しており、当面は業績好調が期待できそうです。
トレーディングカード好調【ハピネット】
上昇率2位は玩具・ゲーム卸最大手の「 ハピネット 」です。8月8日に24年4〜9月期の会社予想連結営業利益が前年同期比27%増の60億円と従来予想(38億円)から大幅に上方修正されました。玩具事業で「ポケットモンスター」や「ONE PIECE」などのトレーディングカードが好調に推移しているうえ、カプセル玩具ショップ「ガシャココ」の出店拡大なども寄与します。
25年3月期会社予想は、クリスマス・年末年始商戦の状況が不透明として従来予想(営業利益は前期比10%減の78億円)が据え置かれましたが、上回る可能性が高そうです。
特別利益計上や定番玩具のヒット、新製品投入効果も
総合娯楽メーカーである「 セガサミーホールディングス 」の24年4~6月期連結決算は、フェニックスリゾート売却による特別利益計上が寄与して純利益が前年同期比42%増の245億円に。
「ウルトラマンシリーズ」を手がける「 円谷フィールズホールディングス 」は低価格玩具の販売好調などを背景に、24年4~6月期の連結営業利益が24%増の25億円。10月にはウルトラマンシリーズの新たなトレーディングカードゲームが発売予定で業績への貢献が期待されます。
玩具大手の「 タカラトミー 」は現代版ベーゴマ「BEYBLADE X」のヒットなどを背景に、24年4~6月期の連結営業利益が66%増の41億円となりました。
8月末開催の「東京おもちゃショー」にも注目
日本の国内玩具市場は2023年度に初の1兆円を越え過去最高を更新しました(一般社団法人の日本玩具協会、2024年7月公表)。「ポケモンカード」を筆頭にカードゲーム・トレーディングカードが大きく伸長。また、インバウンド層のお土産需要としてフィギュアが人気。加えて、大人になっても子供の心を持ち続けている「キダルト」層を中心にプラモデルなども好調でした。
8月29日~9月1日には、同協会が主催する国内最大規模の玩具展示会「東京おもちゃショー」が東京ビッグサイトで開催されます。出展企業は自社ブランドや自社製品を最大限アピールするため、おもちゃショー開催にあわせて最新のおもちゃや各社の一押し商品を出品します。昨年は6月開催でしたが、今年は夏休み期間中での開催となり、注目度が例年以上に高まると予想されます。
市場規模の拡大を背景におもちゃ関連企業の業績は好調に推移しています。昨年も決算発表をきっかけに株価が上昇する局面がありました(『キャラクター人気が業績を牽引 「おもちゃ」関連株が上昇』)。今年は春闘での大幅な賃上げに加え、政府が物価高対策として実施した定額減税などにより可処分所得が増えており、玩具市場の一段の拡大につながりそうです。業績はもちろん「おもちゃ」の動向も要注目です。