株式市場で「婚活」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は3.6%と、東証株価指数(TOPIX、1.0%高)を上回りました(8月30日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
政府がマッチングアプリを支援
婚活関連株が上昇した背景は、こども家庭庁に関する2つのニュースです。同庁は26日、15~39歳の若い世代2万人を対象にした結婚や出会いに関する調査結果を公表。出会いのきっかけは既婚者の4人に1人が「マッチングアプリ」で最多を占め、婚活でアプリ利用が広がっていることが改めて意識されました 。また、未婚者の半数超が結婚に意欲を示している ことも明らかになりました。
翌27日には、同庁が自民党の会議で2025年度予算案の概算要求を示したと報道 。若い世代の結婚や出会いを支援するため、マッチングアプリの普及啓発や民間企業と連携したライフデザイン支援に53億円を計上します。
政府の支援を追い風に、マッチングアプリや結婚相談所などを展開する婚活関連銘柄の成長期待が広がり株価が上昇しました。
幅広い婚活事業を展開【タメニー】
上昇率首位の「 タメニー 」はマッチングアプリ「スマ婚デート」のほか、結婚相談所「パートナーエージェント」や婚活パーティーなど婚活事業を幅広く展開しています。複数の地方自治体からの婚活支援業務の受託なども手掛けており、婚活事業での成婚率が高まれば、相乗効果で業績拡大が見込まれます。
28日には結婚相談所サービスの値下げ、30日には同業他社が運営する結婚相談所「ノッツェ」との顧客データ連携をそれぞれ発表しました。利用者のさらなる増加が期待されます。
ユニークなイベントも魅力【IBJ】
上昇率2位の「 IBJ 」もマッチングアプリ「Bridal Net(ブライダルネット)」や結婚相談所などを手掛けています。オウンドメディア(自社媒体)「IBJマッチングアプリ研究室」では、利用者拡大を狙った情報発信も積極的に展開しています。行政・自治体向けの結婚支援サービスとして「メタバース婚活」や「ワーケーションツアー」などユニークなイベントも企画しており、今後の収益拡大に期待が掛かります。
福利厚生企業にも物色広がる
「 リログループ 」は傘下のリロクラブが手掛ける福利厚生制度の導入事業で、婚活相談所やマッチングアプリなどの費用が無料や割引になる特典を提供しています。ペット好きの交流アプリ「アモルペット」も無料で使えます。
「 リクルートホールディングス 」は婚活マッチングアプリの「ゼクシィ縁結び」や結婚相談所などを手掛けています。結婚式や子育てなど、婚活後の情報発信もしています。
「 サイバーエージェント 」はマッチングアプリ「タップル」を運営しています。16タイプの恋愛診断を相性分析に活用した新しい無料のマッチングアプリ「Koigram(コイグラム)」の提供も6月に始めました。
いずれの銘柄も婚活関連サービスが今以上に活況になれば、成長の可能性が高まります。
3割の未婚者が「支援」を望む
こども家庭庁の調査によると、都道府県の婚活支援(出会いの場づくり・婚活支援など)を利用する意向のある未婚者は33%にのぼりました。同庁も地域の結婚支援センター事業の改善に乗り出す考えを示しています。
マッチングアプリだけでなく、行政と連携した婚活イベントを手掛ける企業に成長余地があるとの見方から、婚活関連銘柄は過去にも物色されました(『異業種連携でマーケット拡大 「婚活」関連株が上昇』)。少子高齢化に歯止めが掛からず政府が対策に本腰を入れており、婚活関連銘柄への注目度は一段と高まりそうです。