トランプ当選で影響大! 投資初心者は必読 NISAの対処法

フロッギー版 お金で得するオタク会計士チャンネル/ 山田真哉

みなさんこんにちは! 公認会計士兼税理士の山田真哉です。

直近の株価や為替レートが大きく動いています。円安方向から円高へ向かう動きがありますが、アメリカで11月に実施される大統領選でトランプ氏が大統領になると、さらに円高になるのでは、と言われています。

今回は、新NISAをきっかけに投資を始めたばかりの方に向けて、世界のニュースがどのように僕らの投資に影響を与えるのか、そしてどのように対処すればよいのか、解説したいと思います。

お送りする内容は、以下の通りです。

・トランプ氏が大統領選で当選すると、日本や世界はどうなる?
・新NISAはどうなる?
・暴落時の3つの対処法
・中長期的にはどうなる?

トランプ氏が大統領になると、どうなる?

ここ数年は円安が進み、日経平均株価や日本株が値上がりしていました。というのも、円が相対的に安いので輸出しやすくなり、日本の中心産業である製造業の輸出が好調だったからです。円安で海外からの観光客がたくさん来て、国内の旅行産業や百貨店なども儲かっていた、ということもあります。

そんななか、アメリカでは今年の11月に大統領選が行われます。もしトランプ氏が大統領になると、さらに円高へ向かうのではと言われています。どのような政策が行われるのか、少し詳しく説明します。

トランプ氏の主張はアメリカファースト、アメリカ第一主義です。国内の労働者と産業を守るためには、海外からの輸入品に高い関税をかける。そうすると、アメリカ国内ではアメリカ製品が買われるだろう、という政策です。

さらにドル安にすることで輸出をしやすくする。具体的にはアメリカの金利を下げて、ドル安へ誘導します。アメリカ国内の産業を盛り上げようとする政策を掲げています。

そんなトランプ氏の政策が、日本に与える影響を考えてみましょう。アメリカがドル安だと、反対に日本は円高になります。円高になると、日本の輸出企業は不調になり、株価は安くなります。結果、円高株安が進むのではないか、と言われています。
次に、新NISAへの影響について解説したいと思います。

NISAはどうなる?

新NISAの制度については、過去の記事でも取り上げていますので、詳しい話はそちらをご確認ください。今回は、新NISAには成長投資枠つみたて投資枠がある、ということを押さえていれば大丈夫です。

現在、新NISAでは「S&P500」と「全世界株式」が多く買われています。この二つは、インデックスと呼ばれる指数に連動した投資信託(ファンド)で、申込手数料は無料、信託報酬が0.06%程度から、とコストが安いです。

「S&P500」は、アップル、テスラ、Microsoft、Amazonなどアメリカのトップ企業500社を集めた投資信託です。そして、「全世界株式」というのは、全世界の約3000社もしくは約9000社の全部の株に投資する投資信託です。

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SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
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eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリ―)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
SBI・全世界株式インデックス・ファンド

これらのファンドを買う時、皆さんが持っていた円を売ってドルに変え、そのドルでファンドを買うことになります。ですので、アメリカの株式を間接的に買っていることになります。

全世界株式も時価総額ベースで全世界へ投資しているので、全体の6割はアメリカの株です。だから全世界株式を買っても、実質的にはほぼアメリカの株式を買っていることになります。

新NISAが始まり、多くの方がNISAでS&P500や全世界株式を買いました。その結果、円が安くなってドルが高くなる=円安ドル高になった、とも言われています。それがトランプ氏が大統領になって、円高になるとどうなるのでしょうか。

例えば、1ドル=160円の時にS&P500を1000ドル分買った場合、16万円です。それが円高になり、1ドル=120円になった場合、S&P500が1000ドルのままだったとしたら、12万円の価値になってしまいます。

円高になるということはドル安ですから、ドルの価値が下がります。同じ1000ドルでも、円に換算すると16万円から12万円と、マイナス4万円になってしまいます。そうなると、皆さんのNISAに損が出てしまう可能性があります

ちなみに、日経平均株価に連動した投資信託や、株主優待目的で日本株を買っている場合も、円高になると日本は株安になる傾向があります。ですので、日本株を持っていてもダメ、海外の投資信託や株を持っていてもダメ、NISA終了……と思う方がたくさん出てきてしまうかもしれません。

では次に、こんな時の対処法を解説したいと思います。

暴落時はどうする? 3つの対処法

NISAで持ち株が下がってしまった時に1番やってはいけないのは「見なかったことにする」です。できるだけ現実を受け止めてどうするか考えるのが、投資です。対処法としては、主に以下の3つです。

①売ってしまって現金化する
②安くなったところでたくさん買う
③そのまま買い続ける

1つ目の方法としては、利益が出ているうちに売ってしまって現金化することです。これから下がることが見えているのであれば、今のうちに売ってしまう。そしてしばらく投資をしない。投資格言には「休むも相場」という言葉があります。

2つ目は、S&P500や全世界株式が安くなったところでたくさん買うという手です。投資の大原則は「安く買って高く売る」ことなので、「安く買えるのは良い」というのが投資の考え方として、ある意味、健全だと思います。大暴落の時こそたくさん買えるという意味で、「大暴落はバーゲンセールだ」という人もいます。

3つ目は、NISAが長期投資の仕組みなので、そのまま買い続ける。特につみたて投資枠を使っている方は、毎月つみたてる設定をしていると思いますので、このまま続けるのも手だと思います。

もしトランプ氏が当選して円高株安になったとしても、長期的に見れば、必ずしも円高が続くとは限りません。それは一体どういうことなのか最後にお話ししたいと思います。

中長期的にはどうなる?

投資の世界でいう中長期というのはだいたい1年半〜3年、5年です。そして、短期と中長期では全然違う動きをする時があります。

トランプ氏の政策は高関税とドル安だけではありません。同時に大減税も考えているようです。そして、アメリカの地下深くからシェールガスや石油をどんどん掘り出し、エネルギーコスト(光熱費)を下げる。これらの政策が行われると、アメリカは株高になる可能性が出てきます。

仮に、円高で160円から120円になったとしても、S&P500や全世界株式が1000ドルから1250ドルへ上がったとします。日本円に換算すると、16万円だったものが15万円になります。円高の損がアメリカの株高によって相殺される可能性も高まるわけです。

そして、アメリカがどんどん株高になっていくと、結局みんなまたアメリカに投資するので、ドルの価値が高くなります。

日本の投資家は日本円を売ってドルに変え、アメリカの株式を買うので、結果的に円安ドル高になります。すると、円安で輸出企業が好調になり、日本も株高になる。さらに日本の株式市場はアメリカの景気に左右されるので、アメリカが株高であれば日本も株高になる。つまり、中長期的に見れば、日本も株高になる可能性が高くなります。

だとすると、長期投資であれば買い続けることもとても有効になってくるというわけです。
もちろん、相場がどうなるのかは分かりません。しかし、トランプ氏が大統領になって円高・株安になったとしてもダメなわけではなくて、中長期的に見れば全く違うストーリーもあるわけです。ですので、初心者の方は暴落したとしても慌てず、中長期で考えてみてください

株式投資をする際にはニュースもチェックしておいたほうがいいので、今後も世界のニュースと投資の関係を取り上げたいと思います。
それでは今後ともごひいきに。ば~い、ば~い!

本動画は、2024年7月21日の収録です。
カエル先生の一言

投資信託は組入れた株式・債券等の値動きにより基準価額が変動します。投資元本を下回る場合もあります。必ず最新の目論見書等を十分にご確認の上、ご自身の判断で投資してください。