株式市場で「ライドシェア」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は1.4%と、東証株価指数(TOPIX、4.2%安)に対して逆行高となりました(9月6日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
官民連携で検討へ
「ライドシェア」は一般ドライバーが有償で乗客を送迎するサービスです。既に、今年4月、東京都の23区など一部地域に時間帯を限定して導入されています。
関連株が買われた背景は、「ライドシェア」全面解禁などへの期待の高まりです。9月4日、国土交通省は、官民連携の新たな枠組みの立ち上げや、日本版ライドシェアの導入に向けたガイドラインを策定したと発表。公共交通機関を利用するのが困難な「交通空白」の解消を目指します。斉藤鉄夫国交相は「交通空白の解消に意欲と関心を持つ幅広い分野の民間企業などの参画を得て、官民連携プラットフォームを立ち上げて下さい」と訴えました。
また、ライドシェアをめぐっては、6日に自民党総裁選への立候補を正式表明した小泉進次郎氏が全面解禁を訴えました。他の立候補者の茂木敏充氏や石破茂氏も全面解禁に賛同する姿勢を過去に示しています。政府や国の今後の動向がライドシェア関連株の将来的な成長を後押しするとの期待から、物色が広がりました。
GOと資本業務提携【東京センチュリー】
上昇率首位の「 東京センチュリー 」は多くの企業との協業を通じた次世代モビリティー事業を手掛けています。ライドシェア関連ではタクシー配車アプリ大手のGO(東京・港)と資本業務提携し、車両や乗務員が配車依頼を受けるタブレットのリースなどをしています。将来的には両社の強みを活かした協業を目指しています。地方進出での協力などを前向きに検討しており、交通空白の解消を目指すライドシェア事業への進出なども期待できそうです。
石垣島で事業展開を検討【FIG】
上昇率2位の「 FIG 」はグループ会社のモバイルクリエイトがタクシー配車システム「新視令forクラウド」やメーター連動の決済システムなどを手掛けています。同社は沖縄県の石垣島で、対話アプリ「LINE」を活用したタクシー配車サービスを9月2日から開始し、ライドシェア機能の追加も検討しています。石垣島での事業が成功すれば、他の地域への拡大にも期待が高まります。
すでに事業を始めた企業も
「 大和自動車交通 」はタクシー配車アプリのS.RIDE(エスライド)を活用し、東京都内でのライドシェア事業に参入しています。
「 ビリングシステム 」はスマホを活用した決済代行サービスなどを手掛けています。ライドシェアが拡大すれば、利用の増加が期待できます。
「 ディー・エヌ・エー 」はタクシー配車アプリ大手のGOを持ち分法適用会社としており議決権ベースで株式の25.8%を保有しています(2024年6月24日時点)。GOは1月、株式上場の準備を始めると発表しており、今後の動向が注目されます。
課題はドライバー不足など
全面解禁に向けた議論の活発化が見込まれるライドシェアですが、現状は多くの配車アプリが未対応で、ドライバー不足も課題となっています。特に7月からライドシェアが可能になった「雨天や酷暑時」など需要が急増する時間帯に対応できていません。
東南アジア諸国などではライドシェアが急速に普及し、生活や観光客の足として欠かせない存在になっています。タクシー会社以外の参入など全面解禁が認められれば、将来的に大きく成長する産業の一つになりそうです。