テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「電線・光ファイバー」に関するニュースの裏側について、ご紹介します。
米国向け光関連部品の輸出は好調
8月21日、財務省が7月の貿易統計を発表しました。統計を分析した資料などによると光ファイバー・ケーブルの輸出額は前年同期比33%減、前月比19%減と冴えないものでした。
しかし、そんななか米国向け光コネクターなどの関連部品の輸出好調が光りました。背景には、生成AIデータセンター(DC)向けの出荷の伸びがあるようです。具体的には、マイクロソフトやアマゾンのDC事業に代表されるハイパースケールデータセンター(HSDC)向けの超多芯ケーブルの輸出が伸びているもようです。
この分野は「 フジクラ 」、「 住友電工 」が得意としています。また、HSDC関連ではAIサーバー内でGPUを接続するための光ファイバー用のコネクターが伸びているようです。7月は前年同月比2.6倍、3ヵ月平均でも2.8倍のペース。通常のサーバーに比べAI向けでは5倍のコネクターが使われるとされ、この分野ではフジクラのシェアが高いと言われています。
データセンターや工場向け国内送電網増強の動き
一方、8月末、「電力会社がデータセンターや半導体工場の増加に対応して送電網を増強する」と一部報道で伝えられました。
国内の電力設備投資関連では「 古河電工 」、住友電工、フジクラに加え、電力インフラ系に強みを持つ「 SWCC 」に商機が広がりそうです。電力広域的運営推進機関の予想では2024年度から2033年度までの電力需要は年率0.4%の伸びが見込まれます。人口減少や節電・省エネによる需要減を経済成長やDCや半導体工場の新設などによる需要増が上回る見通しです。
半導体工場の集積が進む九州地域に電力を供給する「 九州電力 」など電力各社のほか、重電機器大手の「 日立製作所 」、日立系で工場や鉄道向けに受変電設備などを扱う商社、「 八洲電機 」などに追い風が。変圧器・変成器、電力ネットワークでは「 ダイヘン 」「 東光高岳 」などの他、「 明電舎 」「 三菱電機 」などの電力インフラ関連にもメリットが大きそうです。
国内外のAI需要を背景に電線・光ファイバー関連企業に追い風が吹いているようです。
(出典:日本証券新聞)