株式市場で「ゲーム」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は5.0%と、大幅高となった東証株価指数(TOPIX、4.7%高)を上回りました(9月27日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
出展タイトル数は2850と過去最多
9月26日~29日、世界最大級のゲーム見本市「東京ゲームショウ2024」が開かれました。44の国と地域から985の企業・団体が参加。出展タイトルは2850と前年の2291タイトルを大幅に上回り、過去最多となりました。
ゲーム産業の振興に本腰を入れているサウジアラビアが出展し、ゲーム産業を統括するファイサル・ビン・バンダル王子が来日したことも話題となりました。
ゲームの市場規模が拡大する中、米ゲーム業界団体が主催する大型ゲームイベントである「E3」が昨年末に終了を宣言したこともあり、東京ゲームショウへの注目度がより高まった側面もあるようです。ゲームショウで新作ゲームが披露され、ヒットの期待から関連株が上昇しました。
Disney STEP先行体験【ドリコム】
上昇率首位は、スマートフォン向けゲームを手がける「 ドリコム 」です。宝探しゲーム「Disney STEP(ディズニー ステップ)」に対する期待感から買われました。このゲームは、位置情報機能を活用したスマホゲームで、ウォルト・ディズニーの許諾のもとドリコムが開発・配信・運用します。2025年春の配信開始を予定していますが、正式サービスに先駆けて、いち早くプレイできる先行体験(βテスト)を9月26日に開始したことで注目を浴びました。
「ポケモンGO」、「ドラゴンクエストウォーク」など、人気IP(知的財産)と位置情報ゲームを組み合わせたゲームは過去にもヒットしたため、「Disney STEP」にも大きな期待がかかります。
上位機種のPS5 Proを初披露【ソニーグループ】
上昇率2位は「 ソニーグループ 」です。傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメントが5年ぶりに東京ゲームショウへ出展し、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の上位機種である「PS5 Pro」を初披露しました。
「PS5 Pro」は11月7日に発売予定で、販売価格は11万9980円(税込み)と高額ですが、高精細画像で家庭のリビングにある大画面テレビでも遊べる強みを持ちます。存在感を高めつつあるゲーム用パソコンに対抗できると期待されています。
「メジャスピ」や「三國無双」「モンハン」などの新作にも期待
「 コナミグループ 」はスマホ向け野球ゲームの新作「eBaseball: MLB PRO SPIRIT(メジャスピ)」を今秋に配信すると発表しました。大谷翔平選手をカバーアスリートに起用し、日米を含む10の国・地域への配信を予定しています。
メジャスピはNPB(日本のプロ野球)を題材とした「プロ野球スピリッツ(プロスピ)A」のMLB(メジャーリーグ)版です。大谷選手をはじめ日本人MLBプレーヤーへの注目度が高まっているだけに、プロスピ同様に息の長いヒット作となる可能性がありそうです。
「 コーエーテクモ 」は人気アクションゲームの最新作「真・三國無双 ORIGINS」を公開しました。「三国志」の世界を舞台にした歴史ゲームに格闘要素を盛り込んだ人気シリーズです。これまでにないゲーム体験ができるといわれ、ヒットが期待されそうです。2025年1月17日発売予定です。
「 カプコン 」は人気シリーズの最新作「モンスターハンター(モンハン)ワイルズ」を出展しました。「モンハン」は、雄大な自然の中で巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲームで、シリーズ累計1億本を突破する国民的ゲームとなっています。2025年2月28日に世界同日発売の「モンハンワイルズ」もヒットが期待されます。
年末に向けクリスマス需要高まりへ
ゲーム総合情報メディアのファミ通が発表した「ファミ通ゲーム白書2024」によれば、2023年の国内ゲーム市場規模は前年比4.6%増の2兆1255億円となりました。
ゲーム人口は、コロナ後にエンタメ需要が分散化した影響で2022年は微減でしたが、2023年は前年比2.8%増の5553万人と増加に転じ、巣ごもり需要の反動から脱却し成長軌道へと戻りつつあるようです。
また、家庭用ゲーム機は、PS5、ニンテンドースイッチなどの販売好調で27.5%増と4年連続の増加となりました。ニンテンドースイッチについては後継機が注目されますが(『ニンテンドースイッチに後継機? 「ゲーム」関連株が上昇』)、今年5月に会社側が2024年度内の発表予定を公表しており、引き続き話題となりそうです。
今後は年末に向け、クリスマス商戦で需要が高まるとみられ、ゲーム関連株の動向から目が離せません。