日興フロッギー白書「相場急変時、株を買った? 売った?」

日興フロッギー白書/ 日興フロッギー編集部高橋 由季

相場が急変したときは株を買い増しする派? いったん売る派? 2024年8月に日本銀行の利上げなどをきっかけに日経平均が歴史的な急落となった日、どんな気持ちになって、どんな行動をした人がいたのでしょうか。そこで今回は、アンケートで「相場急変時の投資行動」を紐解きます。

4人に1人が「資産を買った」

2024年8月5日に歴代トップとなる4451円安を記録した日経平均株価。1987年のブラックマンデーを超える下げ幅は、多くの投資家にショックを与えました。ただ、日興フロッギーが9月に実施したインターネットアンケートによると、資産を売った個人投資家は少数派。4人に1人がなんらかの資産を買い、6割以上の人は特に何もしていなかったことがわかりました。

約半数は意外と「平常心」

また、その時の気持ちをお聞きしたところ、約半数の人は「平常心のままだった」と回答。アンケート回答時の相場が落ち着いていることも影響していると見られますが、市場の振れ幅ほど、個人投資家の心は揺れ動いていなかったことが読み取れます。
中には「長期目線で投資を考えているので、特に心配していない」という方もいました。

「株は上下動のあるものと認識している。長い目で見るようにしている」
「少額、長期積み立てをしているので安心である」
「長期で運用しているので様子を見ていた」

さらに「下落はむしろチャンスである」と捉えている人も少なくありませんでした。

「大きく下げた時こそチャンスだと思った」
「ボーナスステージだと思った」
「思ったより回復が早く、買いそびれた」

感情が大きく動いた人ほど売買していた

また、感情は行動にも直結しています。「ひどく悲観的になった」「大きく楽観的になった」と感じた人ほど、「買い」または「売り」を実行していました。感情は真逆ではありますが、気持ちの揺らぎが投資行動を促したことが読み取れます。

買いも売りも「配当株」「値上がり目的の株」がトップ2

急落時に買ったもの・売ったものをお聞きしたところ、どちらも「配当目的の株」「値上がり目的の株」がトップ2となりました。

買った理由は「長期目線」

急落時になにかしら資産を「買った」と回答した人に、その理由をお聞きしたところ、「長い目で見れば価格が上がると思ったから」がトップでした。「配当・利子などがもらえるから」や「優待がもらえるから」もある意味、長期目線だからこその理由と言えますね。
一方、急落時に資産を「売った」と回答した人にその理由をお聞きしたところ、「もっと下がると思ったから」がトップでした。「リスクを抑えたいと思ったから」「損切りルールに抵触したため」など自分自身の中でリスクへの判断軸を持っている方も多く見られました。

NISA枠の利活用が主流に

2024年から使いやすくなったNISA(少額投資非課税制度)。今回「買った人」「売った人」に、NISAを利活用したかをお聞きしたところ、6~7割がNISAで売買したと回答しました。多くの人がNISAの利活用を前提に資産形成していることがわかりますね。

財源は「待機資金」

資産を買った人に、その財源についてお聞きしたところ、「投資のために待機していた資金」と回答した人が約7割(85人)に上りました。ここまで日本株は上昇相場が続いていただけに、待機資金をようやく買いに充てられたのかもしれません。
また、こうした「買い」と判断した場面で、待機資金があまりなかったという方もいたようです。常に気持ちも資金も余裕をもって、資産運用を続けていきたいですね。

「手元に余裕資金を置いておくことは、重要だと思った」
「資金力をつけたいと思った」
「買い時なので、もっと余剰資金があれば買い足しできるのにと思った」

なんと資産残高は平均で+2.2%!

急落前(7月末)と比べて8月末時点の資産残高がどう変化したかをお聞きしたところ、「ほとんど変わらない」と答えた人が最多だった一方、全体では+2.2%とむしろ増えていることがわかりました。7月末の日経平均が3万9101円で、8月末が3万8647円と、急落前の水準を回復していないことを考慮すると、うまくタイミングをとらえてリターンをプラスにできた方が多かったことが読み取れます。

売買行動を起こした人ほど結果として資産は増えた

なお売買を積極的に行った人の方が、資産が増えていることがわかります。もちろん投資はリスクとリターンの世界。「50%以上減った」という方もいることから、ただ売買を繰り返せばよいわけでないこともわかります。
また、感情別で見ても、大きく感情が動いた人ほど資産が増えたことがわかります。つまり、感情が動いて売買の行動につなげた人ほど資産を増やすことができたことになります。さらに、楽観的な人ほど損失が抑えられていることも読み取れます。
今回の結果は、あくまでも直後に急反発した足元の相場を前提にしたもののため、すべての相場急変時に見られる現象ではありません。ただ、改めて投資の基本である「安く買って、高く売る」ということが意識された相場でもありました。みなさんの投資の参考になれば幸いです。

一般向けアンケート概要
期間:2024年9月5日~9月12日
対象:Fastaskによるインターネットアンケート回答者
有効回答数:938件
なお、本調査を引用する場合は、必ず「日興フロッギー調査より」ということを明記していただきますようお願いいたします。