新NISAの導入により、多くの人が投資を始める中、インデックスファンドだけでなく、独自の投資哲学を持つアクティブファンドにも注目が集まっています。今回は、フィデリティ投信の世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)について、フィデリティ投信のプロダクト・スペシャリスト部長、藤原嘉人さんにお話を伺いました。
「フィデリティ・世界割安成長株投信 Aコース(為替ヘッジあり)」
「フィデリティ・世界割安成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)」
「割安」で「成長性のある」銘柄を見つけ出す
企業の本質的な価値として長期的な成長力を持つにも関わらず、現在の株価の間に乖離があり「割安」な状況にある企業が存在します。そのように大きく乖離がある銘柄を探して投資していくというのが、このファンドの投資哲学です。1989年12月に米国でファンドが設定されてから30年以上、金融市場が移り変わってゆくなかでも一貫して、ずっとこのやり方を続けてきました。
その結果、トップクラスの成果を誇る戦略として知られるようになり、2020年3月に日本へ持ち込んだという経緯があります。
「テンバガー」という言葉は、元々野球用語で「10塁打」を意味します。投資の世界では、株価が10倍になる銘柄を指す言葉として使われています。この言葉を投資用語として広めたのが、フィデリティの伝説的なファンドマネジャー、ピーター・リンチです。
当ファンドの戦略を最初に立ち上げたジョエル・ティリングハストは、ピーター・リンチから直接指導を受けました。ピーター・リンチの「100個の銘柄を調べれば10個の良い銘柄が見つかる」という教えを受け継ぎ、徹底的な調査と分析を行う姿勢を貫いています。
このファンドは、そういった「テンバガー」となる可能性を秘めた銘柄を見つけ出すことを目指しているため、「テンバガー・ハンター」と名付けられました。
当ファンドの最大の特徴は、「割安」で「成長性のある」銘柄を見つけ出すことです。一見すると相反するこれらの要素を両立させる銘柄を探すのは簡単ではありません。そのため、以下のような戦略を取っています。
2.現在の株価と推計した本質的価値との乖離が大きい銘柄を探す
3.財務健全性や経営の質(クオリティ)を重視して投資する企業を選ぶ
4.多くのアナリストが注目していない、いわゆる「穴場」の銘柄を発掘
5.発掘した銘柄の価値が市場に認識されるまで、長期的に保有する
おそらく、上記の「1」から「3」はどのアクティブマネージャーも同じことをしています。テンバガー・ハンターにもし違うところがあるとすれば、倍数のイメージで乖離がある銘柄のみをポートフォリオに組み入れている点ではないかと思います。20%とか30%といったレベルの乖離はそもそも狙いにいきません。
また、割安であること以外に「クオリティ」を必須の条件として掲げています。当然、これだけのことをするには相応の時間がかかりますが、フィデリティには世界中で900名以上の運用のプロがいるので、リサーチの深さと広さ、この2つが実現できていると考えています。
たとえば、ワークマンという企業を2000年代の初頭に発掘しました。当時、ほとんどのグローバルマネージャーや日本株のマネージャーさえ注目していない企業でした。しかし、調査を進めると、小売企業としてクオリティが非常に高いことがわかったんです。
当ファンドが投資を始めてしばらくは株価の動きは鈍かったのですが、徐々に上昇し、最終的には10倍以上になりました。これはまさに「テンバガー」の好例と言えるでしょう。
だいたい3~7年ぐらいです。もちろん、その間に見立てが正しかったのかどうかといった検証は繰り返し行っています。個人投資家の場合、1年待って価格が上がらなければ、不安になって売りたくなる方もいることでしょう。5年間上がらない銘柄ばかり保有するのは、嫌ですよね。
なので「お客様は安心してお休みになっていてください、私たちが(価格変動を)心配します」といった、耐え忍ぶタイプのファンドだと思っていただけると、わかりやすいと思います。
小さく始めて、大きく育てる
1番わかりやすいのが、銘柄を分散させて、1銘柄あたりの組み入れ比率を抑える方法です。ただその分、保有銘柄数は増加し、現時点で400銘柄ほどに上ります。これだけ多くの銘柄を含むポートフォリオは、他のアクティブファンドと比較して珍しいと思います。
とはいえ、フィデリティにはそれだけの規模のファンドを管理・調査できる体制が整っており、そのメリットを享受できています。また、中小企業であれば財務健全性などが大きなリスク要因となりますが、そういったところもスクリーニングの時点で厳密に管理しています。クオリティの高い企業のみを厳選し、ファンド全体の半分程度を中小型株が占めています。
投資、特に株式投資の場合、リーマン・ショックやITバブル、コロナショックなど、なんらかの出来事をきっかけにマーケットが不安定になりますが、今後もそういった局面が訪れることが予想されます。
そういった場面に遭遇した際、投資を継続するのが怖くなってしまい、やめようかと悩む人もいるかもしれません。投資は継続していただくことが何よりも大切なのですが、私たちはそこで「我慢してください、待ってください」とお伝えするだけでは不十分だと考えています。
例えば、このファンドの場合、過去のパターンを見るとマーケットが下落した幅の5~6割ほどの下落で抑えられています。こうした特性をデータで示すことにより、安心して投資を継続していただけるのも、このファンドの特徴ではないかと思います。
足下で言えば、日本のテクノロジー関連企業に注目しています。米国のAI関連企業が高い評価を受ける一方で、日本の類似企業は相対的に割安な水準にあるからです。これは「日本ディスカウント」と呼ばれる現象のひとつかもしれません。
また、ヨーロッパを中心とした金融関連企業にも注目しています。リーマン・ショック以降、金融規制の強化により各金融機関の財務構造は健全性が高まっているものの、この点が市場で十分に評価されていない可能性があるからです。
長い人生の併走者となるファンドでありたい
このファンドは、お客さまのお子さんの教育資金、それから結婚資金。また、ご自身の楽しい人生、そういった人生の糧となるファンドであると考えています。アメリカでの話ですが、お客さまから「子どもが生まれたからファンドを買った。がんばれ!」といった旨のお手紙を頂くことがあります。さらにその後もご家族の様子が写真付きで何十年にもわたって送られてくることがあるんです。当然、私たちにとってとても嬉しい出来事でして、日本でも同様に長い人生の併走者として選んでいただけるようなファンドになればと思っています。
このファンドの戦略は米国で幅広い支持をいただいており、それは日本でも同様です。また、SMBC日興証券をはじめとする各証券会社にも信頼を頂いていることから、お客様にとっても信頼いただける運用会社ではないかと思っています。その信頼に応えるフィデリティ投信のテンバガー・ファンドをぜひご検討いただきたいです。
フィデリティ・世界割安成長株投信 Aコース(為替ヘッジあり)
フィデリティ・世界割安成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)