中間決算発表が始まる! 業績の上方修正が期待される銘柄

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、中間決算発表で業績の上方修正が期待される銘柄について解説します。

カエル先生の一言

8月に続き、米景気や為替市場の動向に左右され、”往って来い”の相場展開となった日本株市場。27日の自民党総裁選挙で石破氏が選出されると、金融緩和路線を掲げていた高市氏勝利への期待が剥落したことや、今後打ち出される経済政策への警戒感から、再び日経平均は大きく下落しました。

9月の日本株市場

9月30日の日経平均株価は3万7919円、前月末比728円安でした。3日に発表されたISM製造業景況指数は市場の予想を下回り、米景気の減速懸念が強く意識されたことから日本株も月初から急落。半導体関連をはじめ、幅広い銘柄に売り注文が膨らみました。

米景気の先行きに不透明感が漂うなか、18日には、FRB(連邦準備制度理事会)が4年半ぶりに0.5%の大幅な利下げを決定。記録的なインフレを抑えこむため、異例の利上げを続けてきた米金融政策は大きな転換点を迎えました。また、今後の利下げは緩やかなペースになるとの見方から、19日の外国為替市場ではドル買い・円売りが進み、日本株は輸出関連株を中心に大幅続伸。利下げによる景気下支え効果が好感され、米株市場も主要3指数が揃って大幅に上昇しました。

20日の日銀金融政策決定会合では、政策金利が0.25%に据え置かれました。植田総裁は、経済・物価動向が日銀の見通し通りであれば利上げを検討するとの考えを示す一方で、今後の追加利上げの判断には日米経済の動向を慎重に見極めていく姿勢を示しました。

27日に行われた自民党総裁選挙では、石破茂氏が新しい総裁に選出されました。石破氏は投資家や企業への課税強化に前向きな姿勢を示していたことから、市場では政策への警戒感が強まり、30日の日経平均株価は一時2000円以上の下落となりました。総裁選後の記者会見では、石破氏は概ね岸田政権の取組みを踏襲する姿勢を示しましたが、今後の対応に注目が集まりそうです。

訪日外客数は7ヵ月連続で過去最高を記録

18日に公表された8月の訪日外客数は293.3万人(前年同月比36.0%増)と7ヵ月連続で同月過去最高を記録。2019年同月比では16.4%増と2ヵ月連続で2ケタ増となりました。

中国人旅行客数は2019年同月比で7~8割程度の推移が続いているものの、全体に占める割合は25.4%と5ヵ月連続で増加し、存在感が回復しつつあります。10月1日~7日は中国の大型連休である国慶節があり、更なる訪日外客数の増加に期待が高まります。

中間決算発表での業績上方修正に期待

10月以降に本格化する2、3月期決算企業(TOPIX採用)の中間決算発表では、例年通期の会社計画を修正する企業が多い傾向にあります。足元では急速な円高進行の影響などが懸念されるものの、2024年度第1四半期決算の結果が総じて良好であったことや、インバウンド需要の伸び代などで国内経済が回復基調にあることなどに鑑みると、中間決算発表での業績上方修正にも期待が持てそうです。

そこで今回は、通期の予想経常利益(アナリストコンセンサス)が6月末時点から上方修正されていて、過去と比較して第1四半期の経常利益進捗率が高いといった要因から上方修正が期待される銘柄(予想ROEの高さなども考慮)をいくつかご紹介します。

6月末からの経常利益修正率が高い「 SWCC 」は、総合電線メーカーとして電線を中心に通信ケーブル、巻線などの製造・販売を行ってます。建設用電線の好調持続や電力インフラの業績拡大を背景に、2024年度第1四半期の連結決算は売上高が前年同期比17.6%増、四半期純利益が同148.3%増となりました。

3期平均の第1四半期進捗率に比べて今期第1四半期の進捗率が高い「 TDK 」は、小型リチウムイオン電池で世界シェアトップ。ICT市場及びHDD市場の需要回復により、2024年度第1四半期の連結決算では営業利益が前年同期比120.0%増の大幅増益となりました。

大東建託
ディップ
第一三共
セガサミーHD
ヒロセ電機
三菱重工業
第一生命HD
京王電鉄

日米の金融政策や為替の動向、11月に控える米大統領選の行方など、外部環境に不透明感が漂うなかでは、堅調な業績推移が予想される銘柄をチェックしてみるのもひとつの手かもしれませんね。