今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。10月号ではM&A大手の「M&A総研HD」が新規採用されました! 早速、M&A総研HDの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。
M&Aで企業成長・継続に貢献「M&A総研HD」
M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions(マージャーズ・アンド・アクイジションズ)」の略です。日本語では直訳すると「合併と買収」という言葉になりますが、合併や買収、資本提携などを通して企業や事業の成長・発展・維持継続をさせるための経営取引を意味します。
近年、日本では事業承継の手段としてM&Aを活用する企業が増えています。
しかしながら、M&Aは会社資本の移動を伴うこともあり、法律・企業財務・株主利益などの高度な専門知識、企業同士を結びつける高いマッチングノウハウを要します。そこで活躍に期待がかかるのが、日本国内のM&A仲介業で大手4社の一角を担う「 M&A総研HD 」です。
増加する国内M&Aニーズを取り込む
M&A総研HDは2018年10月の設立以来、M&A仲介業務にテクノロジーを取り入れた「M&A×TECH」のリーディングカンパニーです。同社は中小企業のM&A仲介を主な事業領域とし、M&Aニーズが増大するなか順調にM&A仲介受託案件数を伸ばしています。
国内企業の99.7%(2021年6月1日時点)は中小企業・小規模事業者ですが、総務省などの調査によると、2025年までに中小企業・小規模事業者経営者の約3分の2が70歳以上となり、そのうち半数超が後継者未定という状況です。これは国内企業全体の約3分の1に相当します。
この現状を危惧する行政は、さまざまな政策によりM&Aを活用した事業承継を推進しています。公的相談窓口である事業承継・引継ぎ支援センターにおける事業承継の相談数、成約件数はともに増加傾向で推移しており、少子高齢化の進行に伴い、今後も引き続き国内M&Aニーズは増加していくと推測されています。中小企業のM&Aを主な事業領域とする同社は、今後の市場拡大を効率的に取り込んでいくことが期待できます。
AIを駆使した効率化で同業他社に優位性
従来のM&A仲介は、譲渡企業、譲受企業(買手候補企業)の双方を1人のM&Aアドバイザーが担当してマッチングさせる手法がとられています。そのため、買手候補企業の発掘から提案、成約に至るまで、多大な期間やコストがかかるのが一般的です。
一方、同社は蓄積された大量のデータとAI技術による独自のマッチングシステムを活用し、迅速に多くの企業へ提案する体制をとっています。これにより、成約期間の短縮が可能になっています。また、料金体系も上場するM&A企業で唯一、完全成功報酬制としており、顧客の契約締結までのハードルを下げています。
人員の増加により、高成長が期待される
2022年6月に上場してからは同社の知名度や信用力が向上し、受託や成約件数のさらなる増加に成功しています。2023年9月期は売上高が86億円(2022年9月期:39億円)、営業利益は46億円(同:21億円)と前年より大きく伸長。2024年9月期は売上高153億円、営業利益72億円(会社予想)を見込み、同期第3四半期時点での進捗率は売上高が83.5%、営業利益が97.5%と好調に推移しています。
この成長の背景には、AI活用やDX推進のほか、積極的な人員採用と育成によるM&Aアドバイザーの増加が挙げられます。今期第3四半期の決算発表では、中長期的な成長戦略として人員拡大を最重要事項に掲げており、2026年9月期にかけてM&Aアドバイザーを700名(2023年9月期:181名)まで増員する計画です。同社は、採用・育成においても強みとするAIやDXを活かす方針で、優秀なM&Aアドバイザーの拡充および早期戦力化による1人当たり売上高の底上げにより、業績の拡大が期待できます。
M&Aで日本経済の活性化に貢献
M&A仲介企業大手である「M&A総研HD」。中小企業経営者の高齢化や後継者不在の問題が深刻さを増すなか、AIやDXを活用し、事業承継ニーズや人材の効率的な取り込みにより、成長を続けています。ますます拡大が予想される日本のM&A市場で活躍する同社を応援したいですね。
レンゴーは、グローバル市場に対する同社の取り組み速度がやや遅く、当面の成長は価格改定効果への依存度が高いと判断したことから、除外を決定しました。
ホシザキは、事業領域がほぼキッチン周りに限られており、当面は従来を超えるほどの高いバリュエーションは許容されづらいと判断したことから、除外を決定しました。
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