防犯対策を強化 「警備・セキュリティ」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「警備・セキュリティ」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は1.3%高となり、東証株価指数(TOPIX、2.6%安)に対して上昇しました(10月25日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

首都圏で広域強盗事件が相次ぐ

警備・セキュリティ関連株が買われたきっかけは、防犯対策が強化されるとの見方です。

首都圏で匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による広域強盗事件が相次いでいます。「トクリュウ」は、SNS(交流サイト)やインターネット掲示板などの「闇バイト」で集めたメンバーを実行役に特殊詐欺・強盗などの犯罪を繰り返す新たな形態の犯罪組織です。

これまでトクリュウの犯罪は、オレオレ詐欺や投資詐欺など特殊詐欺が主体でした。しかし、直近では被害者を拘束した上で暴行を加える強盗事件が頻発するなど凶悪性が強まり社会的な問題となっています。

こういったことを受け、10月22日、石破茂首相は、2024年度補正予算案で防犯対策の強化を検討する方針を示しました。

また、25日には、神戸市の久元喜造市長が定例記者会見で、住宅街に防犯カメラを100台単位で増設する方針を示し、設置費用を11月補正予算案に計上することを明らかにしています。

防犯カメラ関連システムの販売好調【CSP】

上昇率首位は、「 セントラル警備保障(CSP) 」です。同社はホームセキュリティサービス「ファミリーガードアイ+」を手がけています。10月初旬に発表された2024年3~8月期連結決算は、僅かながらも増収増益となり、会社計画を上回りました。主力の常駐警備が伸びたほか、防犯カメラの販売を中心とした画像関連システムが好調だったようです。

ホームセキュリティで実績【ALSOK】

上昇率2位は「 綜合警備保障(ALSOK) 」です。同社は、異常時に駆けつける従来型の「オンラインセキュリティ」に加えて、依頼に応じて現場を確認する「セルフセキュリティ」のプランを用意した「HOME ALSOK Connect」を展開しています。 

ボディーガード、関西地盤、東北地盤など多様な展開

共栄セキュリティーサービス 」はオフィスや商業施設などの施設警備が主体ですが、国内外の要人のボディーガード(身辺警備)も手がけます。担当するボディーガードはテコンドー元全日本チャンピオンや格闘技の現役選手など格闘技に精通するスタッフが多く在籍し、企業役員やハリウッドスター、アーティストなど、多くのクライアントから指名を獲得しています。 

東洋テック 」は関西地盤の警備会社で、関西電力グループのオプテージと身近で便利・高品質のホームセキュリティーをコンセプトに「関電SOSホームセキュリティサービス」を提供しています。

トスネット 」は東北地盤の警備会社で、主力は交通誘導警備です。サッカーワールドカップ(W杯)や東京五輪など国際イベント警備に関わった実績があります。

警備・セキュリティの重要性は更に高まる

警察は暴力団対策を中心とする従来の組織犯罪対策の在り方を抜本的に見直し、トクリュウに対する戦略的な実態解明・取締りに乗り出しているものの、明確な効果が出ているとは言い難い状況です。

今後は様々な地方自治体で防犯対策を強化する動きが広がるとみられます。仮想空間での犯罪対策に関する「サイバーセキュリティ」(『不正アクセス続発 「サイバーセキュリティ」関連株が上昇)と並び、現実空間における犯罪に対する警備・セキュリティの重要性も更に高まりそうです。