無人店舗が続々オープン AI決済システムで省人化後押し

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深刻化する人手不足への対応が小売業にとって大きな課題となっています。グループ企業が店舗の省人化に取り組んでいる東日本旅客鉄道(JR東日本)を中心に各社の動向をご紹介します。 

JRの駅構内やホームで無人決済店舗が続々とオープン

今年3月、2020年に開業したJR 山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の構内に、無人AI 決済店舗の第1 号店となる「TOUCH TO GO」が開業しました。

続いて4月、東海道新幹線の東京駅ホームに、鉄道ホーム上で初めてとなる無人店舗「TOKYO BANANA express」がオープンしました。

これらの店舗は、店舗上部のカメラと棚に設置されたセンサーで、客が手に取った商品を判別します。このため、レジで商品の読み取りをすることなく決済できるのが特徴で、まさに「無人」で営業しています。

無人決済店舗を可能にする技術

この「無人店舗」を可能にしているのは、「 JR東日本 」のグループ会社であるJR東日本スタートアップ株式会社と、システム開発コンサルティングの「 サインポスト 」との合弁会社であるTOUCH TO GO(TTG)の技術です。 

小売店舗に定着しているセルフ決済レジでは、高齢者が操作に手間取ったり、専用の人員を配置するなどの課題があります。

TTGの技術ではこの作業が省略でき、店舗の運営コストも格段に下がることが期待されています。大型店舗のほか、空いているスペースにパッケージ型の店舗を設置することもできるため、昼休みなど特定の時間帯に買い物が集中しやすいオフィスや工場、学校などの広い空間の一部に無人店舗を置いたりと、今後活用が広がりそうです。

無人決済店舗のメリット
・顧客の決済作業の簡略化
・店舗の省人化で収益性が向上
・利便性を高めて集客力を拡大

通勤や旅行での電車の乗り降りは、しばしば発車時刻や予約時間が迫り慌ただしいもの。行列に悩まされることなくスムーズに買いたい物を買うことができれば、利用者の利便性の向上とともに、購入機会の拡大につながることが期待されます。

省人化に向けた取り組み進む

小売り企業でも省人化に向けた決済サービスの簡略化の取り組みは進んでいます。

イオン 」は「レジゴー」と呼ぶスマートフォンを使ったサービスなどを展開しています。レジゴーは買う商品のバーコードを自分でスキャンし、最後にセルフレジで決済するというものです。

また、同社は2月に「 丸紅 」と店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)化で戦略的パートナーシップ契約を結ぶなど、効率的な店舗運営に向けた取り組みを強化しています。

ディスカウントストアの「 トライアルホールディングス 」は買い物カートにタブレット端末と商品のバーコードを読み込むスキャナーを搭載した独自の「レジカート」を店舗に導入しています。客が商品を買い物かごに入れるのと同時にバーコードの読み込みを行うため決済の手間も少なくしています。

 顔認証で手ぶら決済の未来

日立製作所 」は顔認証サービスを使い、商品の自動認識だけでなく財布やスマホを持たず決済まで完了する無人店舗サービス「CO-URIBA(コウリバ)」を展開しています。利用者は事前に生体情報とクレジットカードの情報を登録しておきます。そして買い物をする時は店頭にあるディスプレイ端末で顔認証をして、その後は商品を選べば精算まで完了するという仕組みです。

AIの活用により、店舗は単なるキャッスレスから無人決済へと利便性を向上しつつ大きく進化しようとしています。