株式市場でゲームセンターやカラオケなど「屋内娯楽」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.1%と、東証株価指数(TOPIX、1.0%高)を上回りました(11月1日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
業績安心感などが株価を押し上げ
屋内娯楽関連株が上昇した背景は、関連企業の事業拡大や業績に対する期待です。特に、株価が大幅上昇した2社については、店舗数の増加や業績安心感につながる会社発表などが株価の押し上げにつながったようです。
富士急ハイランド進出を好感【GENDA】
上昇率首位の「 GENDA 」は傘下企業を通じて、ゲームセンターやボウリング場などを楽しめるレジャー施設「GiGO」やカラオケ店「カラオケBanBan」などを運営しています。
10月29日、同社は、富士急行と協業し、富士急ハイランド内にGiGOのほか、共同制作した仮想現実(VR)アトラクションを来春オープンすると発表しました。積極的なM&A(合併・買収)によって国内外で店舗数を着実に増やしており、将来的な業績拡大も注目されます。
国内事業の好調で見直し買い【イオンファンタジー】
上昇率2位の「 イオンファンタジー 」は子供向けアミューズメント施設「モーリーファンタジー」やカプセルトイ専門店などを展開しています。
10月9日に発表した2024年3~8月期連結決算を受け、株価が急落したものの、同15日に発表した月次売上高で国内事業の好調さが評価され、見直し買いが続きました。
同社の店舗の多くは、グループ企業が運営する総合スーパーやショッピングセンター内などにあるため、買い物目的の家族連れなどが利用しやすいのも特徴です。人口増加が見込まれる東南アジアなどにも積極的に進出しており、さらなる業績拡大も期待されます。
バッティングセンターやボウリング場も多様な屋内娯楽
「 共和コーポレーション 」は「アピナ」ブランドでゲームセンターやバッティングセンター、ボウリング場を展開しています。業務用ゲーム機の販売や修理なども手掛けています。
「 アトム 」は外食大手のコロワイド傘下でステーキや回転ずし、カフェ、居酒屋などを幅広く手掛けているほか、カラオケ店も東北地方を中心に展開しています。
「 第一興商 」はカラオケ店「ビッグエコー」を展開するほか、カラオケ機器の「DAM」などを手掛けています。
秋の長雨で利用の増加も期待
気象庁のデータによると、2024年の降水量は10月時点で、すでに過去2年を上回っています。同庁が発表した直近の1カ月予報によると、11月も関東や東海、西日本は例年よりも多く雨が降る見込みです。
雨の日は屋外施設への外出が難しく、屋内のテーマパークやゲームセンター、カラオケなどに足が向かいやすくなります。屋内娯楽の関連企業の業績拡大への追い風となる可能性もありそうです。
娯楽関連企業を巡っては、今後予想される少子高齢化や国内人口の減少は大きな事業環境の脅威です。一方、アニメやゲームなどを中心とした日本のコンテンツ産業は海外での評価が高いことは強みです。また、政府による海外進出の後押しは追い風といえるでしょう(『クールな成長ビジネス 「コンテンツ」関連株が上昇』)。M&Aによる事業規模の拡大や(『好材料がザックザク 「アミューズメント施設」関連株が上昇』)、海外進出が加速しており、新たな成長産業として注目できそうです。