マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、27日に投開票された衆議院選挙について解説します。
15年ぶりに与党が過半数割れとなった衆議院選挙。連立政権の拡大など、特別国会での首相指名に向けて様々なシナリオが想定されそうです。米大統領選挙など重要イベントを経て、本格的な“政局の秋”を迎える11月は、株式市場も値動きの荒い展開となりそうです。
10月の日本株市場
10月31日の日経平均株価は3万9081円、前月末比1161円高でした。月初から金融所得課税や法人増税に関する石破茂首相の発言や米経済指標などに一喜一憂する展開となりましたが、NYダウやS&P500が連日の最高値を更新するなど米株高、円安が進行。15日の日本株市場では幅広い銘柄が上昇し、取引時間中には一時日経平均株価が4万円台を回復する場面もありました。
ところが、オランダの半導体製造装置大手・ASMLホールディングスによる業績下方修正の発表を受けて、翌16日の日本株市場は半導体関連株が急落。その後は日米の政治・金融政策イベントや中間決算発表の本格化も控え、様子見ムードの展開となりました。
衆院選の結果を受けて、買い戻しの動きが進む
27日に投開票された衆院選で与党(自民党と公明党)は大きく議席を減らし、過半数(233議席)を下回る215議席の獲得にとどまりました。与党が過半数を下回るのは、民主党政権が誕生した2009年以来。一方、野党第1党の立憲民主党は50議席増やし、148議席となりました。
今回の選挙について、市場では与党の苦戦をある程度事前に織り込んでいました。また、与党が新たな政権の枠組みを探る中で、市場は従来より財政拡張路線になる可能性などをポジティブ視したとみられ、28日の日経平均株価は一時800円超上昇。買い戻しの動きが優勢となりました。
与党が少数となる衆議院では法案や予算案の可決が難しくなるため、石破首相は野党の協力を求めてでも、自民党中心の政権を目指すとしています。首相指名を行う特別国会は11月11日に召集される予定ですが、新たな連立枠組みや閣外協力の模索など、目先の日本株市場は政治的な不透明感の高まりを嫌気した荒い値動きが見込まれそうです。
今年のNISA枠は使い切った? 好業績予想銘柄をチェック
足元では3月期決算企業の第2四半期決算発表が本格化し、市場の目線は「今期」から「来期」の業績へと移っていく局面となります。先行き不透明感の漂う相場環境では、業績面で安心感のある銘柄に注目が集まりそうです。
そこで今回は、来期の経常利益伸び率が高い銘柄のうち、今中間決算での予想進捗率の高さや今・来期予想ROEを考慮して抽出した10銘柄をご紹介します。
2024年も残り2ヵ月を切りました。新NISAの買付枠を使い切っていない方や何を買うか迷っている方は、好調な業績予想で堅調な株価が期待される銘柄をチェックしてみてはいかがでしょうか。
第一三共
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アドバンテスト
村田製作所
三菱重工業
タカラトミー
東京エレクトロン
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