コンテンツ争奪活発化か 「知的財産」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「知的財産(IP)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は5.6%と、東証株価指数(TOPIX、0.6%安)に対して逆行高となりました(11月22日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

ソニーGがKADOKAWAを買収か

知的財産関連株が上昇したきっかけは、「ソニーグループがKADOKAWA買収に向け協議をしている」との19日の報道です。

KADOKAWAは書籍や雑誌の出版と販売が主力事業で、年間5000件におよぶ新作を創出するなど、新たな知的財産を生み出す力に強みがあります。

市場ではソニーGとしては買収により出版など自社で作品を生み出す力を強化する狙いがあるとの声が聞こえています。今回の報道で知的財産への評価が一層高まったほか、知的財産などコンテンツに強みのある企業の買収が活発になるとの思惑が広まりました。

知的財産を生み出し、展開【KADOKAWA】

上昇率首位の「 KADOKAWA 」は文芸や漫画、ライトノベルなどの出版によって知的財産を生み出し、アニメや映画、ゲームなどを制作・展開しています。

アニメは自社原作や他社原作で年間約40本を制作し、自社原作の「陰の実力者になりたくて!」や他社原作の「【推しの子】」などが放映されました。ゲームでは子会社のフロム・ソフトウェアが「エルデンリング」などを手掛けています。その他にも動画コミュニティサービス「ニコニコ」を運営する子会社ドワンゴによるイベントなど、知的財産を活用した事業を幅広く手掛けています。

知的財産を活用したブロックチェーンゲームを開発【gumi】

上昇率2位の「 gumi 」は知的財産を活用したゲームを開発し、運用しています。従来のスマホゲームが低調であるものの、同社の知的財産を活用したブロックチェーンゲーム「ファントムオブキル‐オルタナティブ・イミテーション‐」などブロックチェーン技術を活用した事業が成長しています。

自社の知的財産を販促などに活かす企業も

ディー・エヌ・エー 」は自社開発のアプリゲーム「逆転オセロニア」を有するほか、他社の知的財産の「ポケモンカードゲーム」を活用したスマートフォンゲーム「Pokémon Trading Card Game Pocket(通称:ポケポケ)」を開発し、話題になっています。

ブシロード 」はトレーディングカードゲーム「カードファイト!ヴァンガード」やスマホゲーム「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」などの自社開発とアニメ化などを手掛けています。

ディー・エル・イー 」は「秘密結社 鷹の爪」などの知的財産を活かした映像制作やスマホゲーム、販促支援などを手掛けています。 

政府も知的財産事業の成長を後押し

政府としても知的財産事業を後押しする動きがあります。6月には内閣府が世界に認められる日本の魅力「クールジャパン」を広めるクールジャパン戦略を再起動しました(『クールな成長ビジネス 「コンテンツ」関連株が上昇)。

ソニーGがKADOKAWA買収の協議に入ったというニュースで注目度が一層高まる知的財産の話題を確認し、投資する銘柄の選定に役立てたいですね。

※KADOKAWA(9468)は、記事執筆時点で証券金融会社の注意喚起銘柄に指定されています。