保険から証券に「お金の置き場所」を変えることで生涯数千万円の差が出る? 人生100年時代の保険の見直しと資産運用の最適解を学べる良書です。
お金を増やしたいなら「保険は掛け捨て、運用は証券」
本書のキモは「保障なら保険、資産運用なら証券」ーー老後のお金を増やしたいなら分けて考えるが鉄則! 2000人以上の資産形成をサポートしてきた著者によると「預貯金よりはマシという感覚で貯蓄型保険に加入した」ものの、いくら戻ってくるのかよくわかっていない人は多いのだそう。身につまされる話ではありませんか。
例えば、株を自分でやるのはちょっと、という方に人気の変額保険。景気に応じて保険金が変わるのでインフレ対策にもなり、証券口座を自分で開かずとも株や債券を運用してもらえます。「死亡補償金+投資信託」で一見良さそうに思えるものの、問題はコストが「非開示」であること。支払った保険料がどれだけ運用に回されているかが、なんと! わからないのでした(運用実績の設計書から想定はできるようですが)。もう一つの驚きが手数料の高さ。支払った一年分の保険料が担当者へ……ということもあるそうです。保険業界の裏話も豊富で読み応えがありますが、ここで効率的な選択と示されるのが「保障は掛け捨て」、資産運用は「自分で証券口座を開き、投資信託を購入すること(新NISA)」。
タイトルに「保険のルール」とあるものの、投資についても初心者であれば十分な内容が収められています。資産運用しながらの取り崩し例、元本割れした投資信託の実名だったりと、具体例が挙げられているのも嬉しいところです。巻末のケーススタディには投資や退職金シミュレーションもあり、参考になる方も多いはず。ちなみに、貯蓄型保険に加入している方は本書を読むと「そんな!!」となる可能性もあります(運用のロスに気がついてしまうから)。でも、知るなら早い方が良いわけで。55歳といわず、若い世代にもおすすめしたい一冊です。