EVバスが毎日運行 「自動運転」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「自動運転」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は2.2%と、東証株価指数(TOPIX、0.7%高)を上回りました(12月13日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

伊予鉄が「レベル4」の路線バスを毎日運行へ

伊予鉄グループが10日、全国初となる自動運転路線バスの運行を始めると発表したことで自動運転関連銘柄に関心が向かいました。25日から伊予鉄道高浜駅から松山観光港の往復約1.6キロメートルの区間で、特定条件下で完全自動運転が可能な「レベル4」の電気自動車(EV)バスを毎日運行します。今回の取り組みは公共交通の利便性向上未来の都市交通の実現を目指すもので、今後全国的な広がりが期待されます。

自動運転の受託試験【日本電計】

上昇率首位は「 日本電計 」です。電子計測器の専門商社ながら、計測機器の提供にとどまらず、開発ツールや生産技術、品質管理などを支える商品やサービスを展開しています。自動車業界は重要な顧客基盤のひとつで、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域での技術開発に対して計測データ取得や性能評価のための技術を支援する次世代自動車開発支援事業を手掛けているほか、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の受託試験、次世代自動車用駆動モーターの性能評価受託試験など対応領域を広げながら受託事業を推進しており、自動運転関連銘柄として注目されました。

レベル4の認可取得【アイサンテクノロジー】

上昇率2位は「 アイサンテクノロジー 」です。高精度な三次元地図を開発・提供し、自動運転の社会実装に向けて多方面のパートナー企業と連携しています。100カ所以上で自動運転の社会実装を目指した実証実験に国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)」の補助事業者として参画しています。長野県塩尻市に発売した自動運転バス「Minibus」が北陸信越運輸局から「レベル4」の認可を取得するなど、2027年度の自動運転社会実装に向けて、各自治体や交通事業者、パートナーと連携し取り組みを一段と強化していく方針です。

車載センサーの開発・実用化、仮想空間シミュレーターで安全性検証

ソニーグループ 」は、グループの半導体会社が車載カメラ向け半導体画像センサーの新製品を開発し、従来は別々に処理していた自動運転など運転支援のシステムとドライバーの視覚補助向けの画像データを1つのセンサーで対応できるようにしました。

パナソニック 」は、自動運転向けの車載センサーを2027年度にも実用化し、トンネル内など通信が途絶えた環境下でも自動車がどこを走っているか車載システムが高精度で把握できるようにする見通しです。

 「 ヴィッツ 」は、仮想空間シミュレーター「WARXSS」によって、仮想の試験場で交通事故の原因追及や対策の検証、自動運転サービスカーの安全性検証を効率的に実施するための技術を提供しています。

政府は27年度までに全国展開・実装を目指す

自動運転サービスは交通事故削減高齢者の移動手段の確保運転手不足の解消などにつながる技術として期待されています。運転自動化に伴うレベルは5段階に分かれており、「レベル4」は2023年4月から許可制度が始まりました。政府は「デジタル田園都市国家構想総合戦略」で地域限定型の無人自動運転移動サービスについて、25年度をめどに50カ所程度、27年度までに100カ所以上で実現し、全国に展開・実装する目標を自動運転移動サービスの本格的な普及に向けて動いています。社会実装の進展とともに自動運転関連銘柄は注目されそうです(『実用化進展に向けアクセル 「自動運転」関連株が上昇)。