決算を好感 インフルで思惑も 「ドラッグストア」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「ドラッグストア」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は0.5%と、東証株価指数(TOPIX、2.1%安)に対して逆行高となりました(1月17日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

好業績が物色誘う

ドラッグストア関連株が上昇した要因は決算発表です。複数の企業が足元の好業績や通期見通しの上方修正などを発表し、いずれも市場で好感されました。

また、インフルエンザの記録的な流行も、関連銘柄の業績に寄与するとの思惑を誘ったとみられます。週間の感染者数が2024年末に過去最多となり、足元でも1医療機関当たりの患者数が40府県で「警報レベル」を上回っています(1月12日までの報告ベース)。全国各地のドラッグストアや薬局ではインフルエンザ検査キットや栄養補給食品、マスクなどの売り上げが急増し、「タミフル」などの治療薬が品薄になっていると伝わっています。

トランプ氏の米大統領就任や日銀の金融政策決定会合(1月23~24日)を控えた様子見姿勢の強まりなどから相場全体は軟調でしたが、ドラッグストア関連銘柄は堅調に推移しました。

大幅な増益を達成【コスモス薬品】

上昇率首位のコスモス薬品は九州を中心に、全国で1550店舗を展開しています(24年12月末時点)。10日に発表した24年6~11月期の連結決算は売上高が前年同期比6%増の5059億円、純利益が前年同期比25%増の144億円でした。主力の食品や化粧品などの好調な売れ行きなどが寄与し、増収と大幅な増益を達成しました。積極的な新規出店を進める一方、閉店は最小限に留め、店舗数は同期に計56店舗増えました。店舗数の増加が続けば、さらなる業績拡大が見込まれます。

AI活用で成長にも期待【ウエルシアホールディングス】

上昇率2位はイオングループのウエルシアHDで、全国で約3000店舗を展開しています(24年11月末時点)。8日に発表した24年3~11月期連結決算は売上高が前年同期比5%増の9519億円でした。賃上げや税制改正の影響で純利益は27%減の147億円だったものの、会社計画を上回りました。AI(人工知能)を活用した販売促進計画も進めており、中長期的な成長にも期待がかかります。

業績上振れの企業も

スギHDは9日、25年2月期連結純利益が前期比16%増の255億円になりそうだと発表しました。個人消費やインバウンド需要の回復が寄与し、従来予想から5億円上振れする見通しです。

カワチ薬品は茨城県や栃木県を中心に、調剤薬局併設店を含む約380店舗を展開しています(24年12月末時点)。

アインHDは全国に約1200店舗以上を構える調剤薬局事業を主力としています(24年4月末時点)。

カワチ薬品とアインホールディングスもインフルエンザの流行が業績に寄与する可能性があります。

リンゴ病なども流行

インフルエンザ以外にも感染症が猛威を振るっています。頬に赤い発疹が出る、いわゆるリンゴ病(伝染性紅斑)マイコプラズマ肺炎の患者数も過去10年で最多となっています。新型コロナウイルスも感染者が増加傾向にあります。中国で流行しているヒトメタニューモウイルスにも一定の警戒感がくすぶっています。

我々には脅威となる感染症ですが、ドラッグストアの業績には追い風です。また、ドラッグストアは医薬品に加え、食品や日用品なども取り揃え利便性を高めています(『「ついで買い」増加で収益拡大 「ドラッグストア」関連株が上昇)。今後発表される決算や1月以降の月次の売上高なども引き続き注目されそうです。