『スターゲート』事業で脚光 「データセンター」関連株が上昇

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株式市場で「データセンター」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は4.1%となり、東証株価指数(TOPIX、2.7%高)を上回りました(1月24日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

トランプ米大統領「スターゲート」事業を発表

米国の巨額AI(人工知能)投資計画の発表を受けて、データセンター関連株が買われました。

トランプ米大統領は21日、今後4年間で米国内のデータセンターなどAI関連のインフラ整備に5000億ドル(約78兆円)を投資する「スターゲート」と名付けた事業を発表しました。

高性能AIの開発にはデータを高速処理できる大規模なデータセンターが不可欠とされます。スターゲートではまず1000億ドルを投資してテキサス州にデータセンターを整備し、その後は投資額を段階的に5000億ドルまで増額する方針としています。

データセンター向け光ファイバーケーブル【フジクラ】

上昇率首位は、電線大手のフジクラです。光ネットワークの大容量化により、限られたスペースの中により多心の光ファイバーを実装するケーブルが不可欠となるなか、超細径高密度光ファイバーケーブル「SWR/WTC」を世界に先駆けて商品化し、伝送容量の増大を実現。

データセンター向けでは世界最多となる6912心の光ファイバーを開発。また、この心数としては世界最小の直径29ミリメートルの中に詰め込んだケーブルなど革新的な製品を開発しました。簡単に短時間で布設工事ができるなどの特長が評価され、国内外の著名企業に数多くの納入実績があります。

スターゲートの中核を担う【ソフトバンクグループ】

上昇率2位はソフトバンクGです。スターゲート事業は、ソフトバンクGと「チャットGPT」を手がける米オープンAI、米ソフト大手のオラクルの3社が中心となります。

その中で、ソフトバンクGは同事業の財務管理を担当し、傘下の英半導体設計大手アームが技術パートナーとして参画するほか、孫正義氏が会長に就任するなど中核的な役割を担うことで注目されました。

業績上方修正、提携で事業拡大に期待

古河電気工業は、機能製品事業のデータセンター関連製品やエネルギーインフラ事業の関連製品が好調に推移していることなどを受け、2024年4~9月期決算発表と同時に25年3月期の連結業績と期末配当の予想を大幅に引き上げました。

日立製作所は、国内データセンター事業者との連携に加え、アジア通信大手シングテルとアジア太平洋地域において次世代データセンターとGPU(画像処理半導体)クラウド分野で戦略的提携を拡大しています。

さくらはデータセンター運営企業で、1月にAI開発大手のPreferred Networks、次世代半導体の開発・量産を目指すRapidusと国産AIインフラの提供を目指すことで基本合意しました。

DeepSeekショックは一時的か

なお、1月26日、中国発のAIベンチャーであるDeepSeek(ディープシーク)が低コストで開発したと主張する最新の生成AIアプリが、米国株式市場に衝撃を与えました。米政府による半導体規制の影響で、中国企業であるディープシークは生成AIの学習に最先端ではないGPUを使ったと説明しています。それでも、開発した大規模言語モデルの性能が米国製の競合モデルを上回ったと主張したことで、巨額なAI投資に対する疑念が生じました。

ただ、政治的にセンシティブな単語を含む質問に不正確な回答をするなどの問題を抱えているほか、情報漏えいリスクなども指摘されています。

AI企業が将来的にAGI(汎用人工知能)やASI(人工超知能)を目指すには巨額投資が不可欠との見方は多く、今回のショックは一時的なものにとどまる可能性があります。データセンターの関連テーマとして取り上げた(『データセンター特需がここに! 「電気・通信設備工事」関連株が上昇)(『データセンタ向け光ファイバ需要増 「電線・ケーブル」関連株が上昇)もチェックしてみてはいかがでしょうか。

※さくらインターネット(3778)は、記事執筆時点で証券金融会社の注意喚起銘柄に指定されています。