米新政権が発足! トランプ大統領の政策に注目

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、トランプ大統領の政策や半導体関連株の動向について解説します。

カエル先生の一言

トランプ氏の大統領就任や日銀の金融政策決定会合など、重要イベントを経て”往って来い”の相場展開となった1月の日本株市場。これまで株高を牽引してきた半導体関連株を巡っては、中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)による低コストの生成AI(人工知能)の台頭により、荒い値動きとなりました。相場全体の先行きに不透明感が漂うなかでは、個別株の物色が強まりそうです。

1月の日本株市場

1月31日の日経平均株価は3万9572円、前月末比322円安でした。米半導体関連株の上昇が国内関連株に波及し、一時4万円台を回復したものの、トランプ大統領の政策の動向やDeepSeekによる生成AIの台頭で相場は乱高下。1月下旬から始まる2025年3月期決算企業の第3四半期決算発表を見極めたいとの思惑もあり、上値の重い展開となりました。

トランプ政権が本格始動

20日にはトランプ氏の大統領就任式が開かれました。就任早々、トランプ大統領は不法移民対策の強化や米国の対外援助の見直しなどに関する大統領令に次々と署名。ただ、こうした姿勢は選挙期間中から示されてきたもので、市場がネガティブに捉える動きは限定的となりました。
その後、警戒されていた関税策については、グローバル規模での一律関税の導入が先送りされ、市場に安心感が広がったものの、2月4日からカナダ、メキシコからの輸入品に25%、中国に10%の追加関税を課すという大統領令に署名。あらためて世界経済への影響が懸念されました。

ただ、トランプ大統領の掲げる主要政策の中で、特に減税は米企業のEPS(1株あたりの利益)の押し上げに寄与するため、今後具体的な進展があれば、米株高から日本株高への流れは期待できそうです。引き続き、同氏の発言や政権の動向に注目が集まりそうです。

DeepSeekショックで半導体関連株が大幅下落

半導体関連企業を巡っては、中国の新興企業DeepSeekによる低コストで高性能とされる生成AIモデルに注目が集まり、関連企業の競争力低下に対する懸念やAI向けの巨額設備投資の妥当性への懐疑的な見方が強まりました。

米半導体大手エヌビディアの株価は27日に17%安、時価総額は約91兆円消失し、米国1銘柄の1日当たりの減少額としては過去最大を記録。これを受け、日本株市場も半導体関連株やデータセンター向けの需要増加が期待されていた電力設備投資関連株が連日で急落する展開となりました。

DeepSeekの生成AIは他社製品に比べ不正利用を防ぐ仕組みが不十分といった指摘もあり、当面の間、関連銘柄を巡る見方には強弱入り混じり、値動きの荒い展開が予想されそうです。

日銀の利上げにより17年ぶりの金利水準へ

24日には日銀が追加の利上げを決定し、事前の市場予想通り政策金利が0.5%へ引き上げられました。政策金利は2008年10月以来、17年ぶりに高い水準となります。

これを受けて民間銀行は預金金利や、住宅ローンなどの貸し出し金利の引き上げを発表。預金の多い家計には利息の恩恵が受けられるものの、住宅ローンを抱える世帯や銀行から借入をしている企業などは利払いが増え、負担が増すことになります。

日銀の植田総裁は記者会見で、利上げの到達点の目安となる中立金利には相応の距離があると述べ、市場では今後も利上げは継続されるとの見方が広がりました。ただ、次の利上げでは企業や家計が長い間経験していない金利水準に踏み込むため、利上げタイミングの見極めには難しい舵取りが求められそうです。

一方、米国でも29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で市場の予想通り、政策金利の据え置きが決定されました。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は利下げを急がず、今後トランプ政権が打ち出す政策や物価の動向を見極める姿勢を示しました。市場では、FRBが次回以降の会合でも利下げを見送り、次回利下げは6月頃になるとの見方が広がっています。

金利上昇局面では「バリュー株」をチェック

日銀の金融政策に対する思惑や、トランプ政権の政策による財政悪化懸念を受けて、目先の日米長期金利は高止まりする可能性があります。金利が上昇する局面では、将来の成長を見込んで株価が高く評価されている「グロース株」よりも、企業価値が過小評価され、割安な株価となっている「バリュー銘柄」が相対的に物色されやすいと見られます。

そこで今回は、2025年も企業の資本効率改善に向けた取り組みが市場で注目されやすいことなどを踏まえ、予想ROE(自己資本利益率)が高く、好業績が見込まれるバリュー銘柄をいくつかご紹介します。

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トランプ大統領の政策や、これまで株高を牽引してきた半導体関連株の動向など、先行きに不透明感が漂う中では、好業績が予想されるバリュー株をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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