需要一服乗り越え再拡大 「EC」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「EC(電子商取引)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は2.9%となり、東証株価指数(TOPIX、1.8%安)に対して逆行高となりました(2月7日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

「米アマゾンが最高益」

主力企業の決算発表が本格化するなか、EC関連企業で好決算が相次ぎました。EC世界最大手の米アマゾン・ドット・コムが6日発表した2024年10~12月期決算は、純利益が前年同期比88%増の200億ドルとなり過去最高益を更新。主力のクラウドサービス事業に加え、ネット通販事業が好調でした。

国内ではメルカリを筆頭に、ディー・エヌ・エーやLINEヤフーなどが軒並み大幅増益の決算を発表したことでEC関連株が買われました。

フリマアプリ好調で大幅増益【メルカリ】

上昇率首位はフリマアプリ最大手のメルカリです。6日に発表した24年7~12月期連結決算は、営業利益が前年同期比46%増の114億円となりました。

フリマアプリ「メルカリ」を主体とするMarketplace事業でホーム画面の刷新や新機能の提供開始、リユース企業による出店などが奏功して大幅増益となったほか、金融サービスのFINTECH事業は債権残高の着実な積み上がりで継続的な増益基調へと移行しつつあります。新規事業のスポットワーク「メルカリ ハロ」は順調に成長して3月末で手数料無料キャンペーンを終了予定としており、今後の収益貢献が期待されそうです。

「ポケポケ」大ヒットで黒字転換【ディー・エヌ・エー】

上昇率2位はインターネットサービス企業のディー・エヌ・エーです。7日の取引終了後に発表した24年4~12月期の連結決算で営業損益が209億円の黒字(前年同期は276億円の赤字)に転換しました。

ゲーム事業において24年10月に全世界でリリースした新作スマホゲーム「Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」が世界累計6000万ダウンロードを突破するなど好調でした。ポケポケの好調ぶりは事前に伝わっており、決算にかけて好業績への期待から買われたようです。

PayPay成長、円高メリット、加盟店増加で業績拡大に期待

LINEヤフーは、6日に発表した24年4~12月期の連結決算で営業利益が前年同期比46%増の2547億円となりました。主力のメディア事業、コマース事業が好調だったほか、連結子会社でQRコード決済サービスを手掛けるPayPayの成長で戦略事業が大幅に伸びたのが寄与しました。

エニグモは、主力の個人輸入代行サイト「BUYMA(バイマ)」で国外在住の個人が直接買い付けたブランド品のバッグや洋服などを出品・配送し、購入者は日本から注文するビジネスモデルのため、為替相場が円高・ドル安になると価格が抑えられるため円高メリット銘柄とされます。足元で為替相場が円高に振れたことから物色されました。

マーケットエンタはリユースプラットフォーム「おいくら」の加盟店が24年末時点で1000店舗を突破しました。家具・家電など大型不要品の排出削減を目指す自治体でも導入の動きが広がっており、業績拡大が期待されます。

EC市場規模の拡大続く

米調査会社eMarketerによると、世界のEC市場の規模は新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要を受けた20年に大きく伸びました。その後は需要一服で伸びが鈍化しましたが、足元では堅調な成長が続いており25年には8%台の成長が見込まれています。27年には8兆ドルに迫り、コロナ禍前19年の2.4倍に拡大する見通しです。小売り売上高全体に占めるEC比率も徐々に高まると見込まれており、EC関連企業の業績拡大はしばらく続きそうです。

※「EC」については、当連載記事の姉妹編「フォーカス!押さえておきたいテーマと企業」の(『越境EC市場10倍へ! 物流大手から新サービスも) も是非ご覧ください。