富裕層のための米ドル債券投資戦略

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

安定性と利回りのバランスが良い米ドル債券を徹底解説。ポートフォリオ公開も圧巻で、これだけでも本書を読む価値あり、です。

米ドル債券の利息だけで暮らす富裕層も!

著者いわく、米ドル債券に投資する目的は「万一、自分が亡くなっても家族が困らないようにするため」だそうです。3.5億円を30銘柄へ投じ、平均利回りは5.3%。このポートフォリオだけで利息として毎年日本円換算で1500万円ほどの米ドルが勝手に入ってくる状態なのだとか。

もちろん、投資額がケタ違いではありますですが、タイトル通り富裕層だけが読むとしたらもったいない。債券の基礎知識に始まり、高い利回りを狙う劣後債、為替リスクの低減についても記載があり、繰り返し読み込むことで「米ドル債券は十分にわかった」レベルまで到達できそう。

本書は「資産配分に8割の時間をかけ、残りの2割を具体的な商品選びに費やすこと」を推奨します。「自分は逆のことをやっていた!」とこの時点でギクリとする人もいるかもしれませんが、読めば読むほど株と債券はまったく異なる金融資産だとわかります。前者が「売上の成長にベットした(賭ける)投資」ならば、後者は「倒産しないことにベットした投資」なのです。

債券が他の投資ともっとも異なるのは「確定利回り」付きであること。たとえば、利回り5%の債券10万ドル分を購入した場合。その債券を残存期間(3年や10年など債券によって決まっています)まで持ち続ければ、毎年5000ドルの利益が必ず入ってきます!

為替の影響はありますが、利益が「確定している」という言葉の威力はなかなかのものです。一方、最初から利回りが確定していると聞くと投資タイミングに迷いそうですが「利回りが有利な時は為替が不利」「為替が有利な時は利回りは不利」とほぼトレードオフだとか。投資タイミングに関する結論としては、早く投資して高い利回りを得た方がいいとのこと。

さらに「一体何を買うか?」まで、本書にて手取り足取り教えてくれます。著者のポートフォリオのほか日系メガバンクや楽天、ソフトバンクなど馴染みのある企業の米ドル債券も紹介していて、すぐにでも実践できそうなのが嬉しいところです。