価格転嫁で採算改善 「ゼネコン」関連株が上昇

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株式市場で「ゼネコン」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は4.7%と、東証株価指数(TOPIX、0.3%高)を大きく上回りました(2月14日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

見通しの上方修正など相次ぐ

ゼネコン関連株が上昇したのは発表が本格化している決算が好感されたためです。

大幅な増収増益や通期見通しの上方修正などが相次ぎました。建築資材の価格は高止まりしていますが、価格転嫁の浸透による採算の改善などが寄与しました。

相場全体の上値が重いなか、ゼネコン関連株にはさらなる業績の上振れへの期待から物色が向かいました。

受注高も上振れの見込み【東亜建設工業】

上昇率首位の東亜建設工業は国内外の建設事業に携わり、北陸新幹線の高架橋などを手掛けた実績もあります。7日に2025年3月期の業績予想の上方修正を発表しました。連結売上高は前期比12.7%増の3200億円(従来は3000億円)、純利益は33.1%増の140億円(同107億円)にそれぞれ上振れする見通しです。年間配当予想も54円から71円に引き上げました。

国内土木事業の売上が増加し、海外事業も大型工事の利益率が改善しているのが寄与しています。将来的な売上につながる受注高も上振れする見通しを示しており、26年3月期も好業績が期待できそうです。

通期見通しの上振れに期待【ピーエス・コンストラクション】

上昇率2位のピーエスは橋の建設などに強みを持ちます。7日に発表した24年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比14%増の1029億円、純利益が2.1倍の72億円でした。

建築、土木事業のいずれも好調で、増収増益に寄与しました。25年3月期の連結業績見通しは未定としたものの、建築事業での原価改善の効果を精査しているのが理由であるため、従来の見通しから上振れする可能性があります。

配当を引き上げた企業も

奥村組は12日、25年3月期の連結業績見通しが従来予想を上回ると発表しました。土木事業が堅調に推移しており、期末配当も引き上げました。50億円を上限とする自社株買いを実施する方針も好感されました。

安藤・間も、13日、25年3月期連結業績見通しを上方修正しました。建築工事の採算改善などが寄与し、利益が従来より大幅に上振れする見通しとなりました。

スーパーゼネコンの鹿島建設が12日、25年3月期の連結業績見通しを上方修正しました。清水建設はスーパーゼネコン5社の一角を占めます。清水建設も工事の採算は足元で改善傾向にあり、業績の上振れへの期待から物色されました。

好業績で還元強化に期待

採算改善につながった価格転嫁の背景には「選別受注の強化」が挙げられます。ゼネコン各社は従来から強化の方針を示していましたが、値上げが受け入れられる市場環境にようやくなってきたという側面もありそうです。

足元の好調な業績を受け、東亜建設や奥村組などに続いて、期末配当の引き上げなどが発表される可能性があります。ゼネコン関連銘柄はかつて純利益に対する配当額の割合を示す「配当性向」の引き上げなど、株主還元の強化を相次いで発表した際にも、物色されました(『還元強化広がるか「ゼネコン」関連株が上昇)

業績がさらに上振れすれば、配当を引き上げる銘柄が増える期待も高まります。好業績が続けば、自社株買いなどにも期待できます。好業績が確認された今、改めて株主還元という視点からもゼネコン業界に注目してみてはいかがでしょうか。