億り人アンケート~2025年注目銘柄編~

億り人アンケート/ アイル愛鷹かぶ1000御発注JACKDAIBOUCHOU立川 一ちょる子DUKE。とりでみなみ名古屋の長期投資家(なごちょう)なのなの弐億貯男はっしゃん響煇 嚆矢日興フロッギー編集部白根ゆたんぽ

これまでフロッギーに登場してくださった億り人のみなさんへアンケートを実施! 2025年に注目する銘柄やその理由、昨年のパフォーマンス、そして株式市場にも大きな影響を及ぼしているトランプ政権への向き合い方を教えてくれました。今回から前後編の2回にわたってお届けします。2025年版・株式投資の指針として、ぜひお使いください!

年間利益が億を超えた人も! 昨年のパフォーマンスは?

2025年初頭にアンケートを実施したところ、なんと15人の億り人さんが回答してくれました。まずお伺いしたのが、「億り人さん、2024年の成績はいかがでしたか?」という質問。

「利益額としては1億円を超えました。最低限の目標がクリアできたので良かったです」(DUKE。さん)

「配当や先物・オプションも合わせると、合計9000万円強(税引前)。日本の株価指数よりは高いパフォーマンスになりましたが、S&P500指数に及ばなかったのは反省点」(かぶ1000さん)

かぶ1000さんのパフォーマンスは、率にすると+19%ほどだそう。他の方々も、20%前後という回答が多く見られました

「前年末比+22%。ビッグチェンジ銘柄にうまく乗れたし、大型IPO銘柄でもうまく取れた」(JACKさん)

「18.41%(配当込み、含み益に対する税金を考慮)」(立川一さん)

「前年末比+24%くらい(税引き前)でした。小型株の株価が相対的に弱い中、日経平均、TOPIXを上回れて良かったです」(DAIBOUCHOUさん)

2024年の日経平均、TOPIXの年間上昇率はともに20%弱でした。こうした株価指数を市場の平均値として捉え、「平均を上回ること」を目標にしても良さそうです。一方で、とりでみなみさんは年平均の目標数値を設定しています。

「目標は『年平均+7%』。昨年は+32.2%で充分満足できる結果でした。高すぎるくらいです。日経平均の上昇率よりも上回れました」(とりでみなみさん)

その理由を、とりでみなみさんはこう分析しています。

「新NISA資金が認知度の高い大型株に向かい日経平均が4万円を超えることは、年初から予想されました。ただ、4万円達成が思ったよりも早く、それからは中小型の銘柄にも少し資金を投入しました。『日経平均がもう一段の高値をつけるには時間がかかるだろう』と予想したからです。年後半はそれが功を奏し、とくにポートフォリオ2位の「西本Wismettacホールディングス」がMBOされたことがパフォーマンスに大きく寄与しました」(とりでみなみさん)

一方で、思ったほどのパフォーマンスとならなかった人も……。

「13%のマイナスです。不甲斐ない。全体的な業績悪化は正しく判断できましたが、日銀の利上げが進まず円安が長引いたのは予想外。それに伴う資金の流れを見誤ってしまいました」(響煇 嚆矢さん)

「+6%です。8月5日(日経平均が過去最大の下げ幅を記録した日)に買うどころか、いろいろ売らされたのが痛かった……」(愛鷹さん)

「令和のブラックマンデー」とも称された8月5日の暴落は、億り人さんにも影響が大きかったようです。

「利益は6864万円(+38%)ですが、8月5日に年前半の利益5000万円をすべて溶かしました。『あれがなければ……』という気持ちです」(ちょる子さん)

インフレが大きなテーマに

次の質問は、2025年に注目している銘柄です。多くの銘柄が挙げられましたが、テーマ別に紹介していきましょう。

「思い切った値上げができるような強い商品力・サービスを提供している銘柄」への投資を進めていきたいと回答したのは弐億貯男さん。

「物価高に対して企業は賃上げで対応しようとしており、その原資をねん出する必要がある。とはいえコスト削減には限界があり、賃上げは株主にとって減益要因でもある。思い切った値上げができるような強い商品力・サービスを提供している銘柄を選別し、投資していきたい」(弐億貯男さん)

そう前置きして弐億貯男さんが教えてくれたのは、投資用不動産サイトを運営する「 楽待 」です。

インフレに関連する銘柄はちょる子さん、はっしゃんさんからも。

「インフレに強い銘柄である「 三菱UFJフィナンシャル・グループ 」。インフレ時は設備投資への需要が増え、資金調達ニーズも高まります。取得単価も安く、インフレと聞いてパッと思いつきやすいメガバンクの最大手。NISAにもおすすめです」(ちょる子さん)

「円安でインフレが進行し可処分所得が減少すると、にぎわうのが中古市場。『インフレメリット株』としてリユース関連株の動きを注視しておきたい。『 ブックオフグループHD 』やリユースの『 ハードオフコーポレーション 』です」(はっしゃんさん)

為替に着目、「円高メリット銘柄」は

インフレ→日銀利上げ→円高転換といったシナリオもありそうな2025年。為替市場のトレンドが変われば、円高メリット銘柄にもスポットが当たりそうです。

「為替がさらに円安へ進むのはさすがに日本として厳しそう。日銀は利上げで対応していくのでは。そう考えると内需関連から選びたいですが、もし予想が外れて円安が進んでも価格転嫁できる企業や外貨を稼げる企業、いまだに衰えないインバウンド需要やそれに続くアウトバウンド需要(海外での売上が期待できる日本の製品やサービス)に期待できる企業に着目し、なおかつ割安な銘柄を選びました」(御発注さん)

そういって御発注さんが教えてくれたのは「 カゴメ 」「 キユーピー 」「 カンロ 」「 新田ゼラチン 」です。

円高メリット銘柄を、はっしゃんさんも紹介してくれました。

「円高メリット株としては『輸入型の小売業』をマークしておきたい。たとえば「 ニトリHD 」や業務スーパーをFC展開する「 神戸物産 」、女性向け衣料の『チャオパニック』を展開する「 パルグループHD 」です」(はっしゃんさん)

「東証改革」への期待も高い

東京証券取引所が上場企業に求めているのが、資本コストや株価を意識した経営。それに応えようとする企業も見られます。東証改革は今年も進む、と期待する億り人さんもたくさんいました。

「東証による市場区分の見直しにともなう『経過措置』は3月1日から順次終了します。これによる上場廃止をさけるため、時価総額を高める施策を打ってくる企業が出てくるでしょう。増配や自社株買い、株主優待の新設など株主還元策の強化です」(DUKE。さん)

このテーマでDAIBOUCHOUさんが注目したのは「 グローバル・リンク・マネジメント 」です。

「東証プライム市場への上場を維持するには流通株式時価総額が足りない。なんらかの株価対策を行うのではと期待しています」(DAIBOUCHOUさん)

同じく時価総額を高める施策が期待されているのは、名古屋の長期投資家(なごちょう)さんが教えてくれた「エコム」。

「今は名証上場ですが、IRイベントなどでは東証を目指すと公言しています。2024年12月には立会外分売も行いました。東証スタンダード市場の基準を達成したら東証に重複上場するつもりだと思うので、ネックとなっている流通株式時価総額がクリアできるか、注目しています」(名古屋の長期投資家さん)

カエル先生の一言

エコムは名証(名古屋証券取引所)だけで上場しているため、日興フロッギーではお取引できません。オンライントレード(日興イージートレード)を使用して、単元株であれば、お取引できます。
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自動車業界にM&AやTOBの期待

2024年は、M&AおよびTOB(株式公開買付)が活発化した年でもありました。このような流れの中、M&AやTOBの可能性から注目された銘柄もありました

「同業他社をM&Aしながら成長してきた自動車ディーラーが「 VTHD 」。ただ、この数年は大型のM&Aがなく、安定成長の割安高配当株になっていました。日産とホンダの経営統合の話もあったため(※2月13日に正式に破談を発表)『国内ディーラーの再編』がテーマになると、新車ディーラーのM&A環境が好転し、VTHDが恩恵を受けるのではないかと期待しています」(アイルさん)

なのなのさんが注目したのも自動車業界です。

「伊藤忠系エネルギー商社の「 伊藤忠エネクス 」は、WECARS(旧ビッグモーター)や「 ナルネットコミュニケーションズ 」などの自動車関連企業と資本的なつながりがあります。自動車アフターマーケット(新車販売後の市場。中古車の売買や整備、カーシェアリングなど)での事業拡大を図っている「 伊藤忠商事 」はいつ伊藤忠エネクスの完全子会社化をいつ図ったとしてもおかしくないと私は考えています」(なのなのさん)

社名が出たナルネットコミュニケーションズにも同じくTOBの可能性がある、となのなのさんは予想します。

「来期以降、伊藤忠グループやWECARSとの提携効果が数字に表れることを期待していますし、伊藤忠商事が自動車アフターマーケット強化の一環としてTOBする可能性もあるでしょう」(なのなのさん)

世界で稼ぐ日本企業

海外市場での活躍に期待して、社名が挙がった銘柄も紹介していきましょう。

「半導体や航空宇宙、原子力発電などで必要な等方性黒鉛の世界シェア3割を占めるトップ企業が「 東洋炭素 」。2024年高値から半値近くまで下げていますが、そろそろ反発するのでは」(愛鷹さん)

意外なところでは「 リクルートHD 」も海外売上比率が約53%以上(2023年度)。アメリカでの事業が好調だ。

「米労働市場は堅調。米国経済の好調さを象徴しています。その好調が雇用により維持されるなら注目は「リクルートHD」。傘下の米求人大手・Indeed(インディード)は、アメリカだけでなく世界でも有数の求人情報提供サイトです。リクルート、とくにIndeedをチェックすることで米国経済の好調が続くかどうか、判断できそう」(響煇 嚆矢さん)

とりでみなみさんは、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「和食」に注目しています。

「日本食の輸出銘柄は円安も追い風になる。「 味の素 」は海外売上高比率が約65%(2024年3月期時点)。うま味調味料は今後も海外で伸びると見ていますし、「 キッコーマン 」の醤油は米国シェアNo.1。北米が利益の柱に成長してきました。ヨーロッパや東南アジアはまだ成長ステージで拡大余地があります」(とりでみなみさん)

日本食の食材卸はキッコーマン、昨年経営陣によるMBOが発表された西本WismettacホールディングスHD、それに「 宝HD 」の3社が健闘しているといいます。

「宝HDは海外へ向けた日本食材の卸事業が急成長しており、宝酒造の酒類の販売金額をすでに上回る規模となっています(2024年3月期実績)。そのほか、白身魚やエビなど水産フライで圧倒的な世界1位をめざす「 ニッスイ 」も注目されますし、「 紀文食品 」は海外売上比率11%(2024年3月期時点)とまだ低いものの将来に期待できそうです」(とりでみなみさん)

増配に期待できる銘柄は

割安性や配当への着目から名前の挙がった銘柄もありました。

「葛飾区にあった倉庫などの土地を2022年に売却した「 ミヨシ油脂 」。その売却益123億円は2025年12月期に計上予定。時価総額約154億円(2025年2月10日時点)に近い規模です。2025年は30円の特別配当。それ以降もDOE2%を目安に安定した株主還元が期待されます」(かぶ1000さん)

配当面では精密機械メーカーの「 東洋機械金属 」も面白そうです。

「東洋機械金属の配当利回りは5%を超えます(2025年2月10日時点の会社予想配当利回りは5.41%)。2025年4月には『TOYOイノベックス』に社名を変更し、さらに5月には創業100周年を迎える。こうしたことから高配当は維持されると予想しています」(JACKさん)

配当利回り1%台(2025年2月10日時点の会社予想配当利回りは1.33%)ながら、名古屋の長期投資家さんが増配に期待しているのはステンレス製の管継手(くだつぎて)を提供する「MIEコーポレーション」。

「2024年に買った銘柄のなかで圧倒的に配当利回りが低い。ただ自分の見立て通りに財務体質が改善されれば増配されるのではないかと気にしています」(名古屋の長期投資家さん)

カエル先生の一言

MIEコーポレーションは名証(名古屋証券取引所)だけで上場しているため、日興フロッギーではお取引できません。オンライントレード(日興イージートレード)を使用して、単元株であれば、お取引できます。
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将来有望! 今後の成長が期待できる会社

3~5年先の目標となる「中期経営計画」も銘柄選定の重要な材料。中期経営計画への期待から注目された銘柄もありました。

「「 三菱製紙 」が2024年12月に概要を発表した中期経営計画はかなり強気。株主還元の強化が打ち出されると潮目は変わってきそう。計画の詳細は2025年5月に発表予定です」(なのなのさん)

同じく中期経営計画への着目でピックアップされたのはオペレーティング・リースを主力とする「 ジャパンインベストメントアドバイザー 」と、ファンド事業などを行う「 AIフュージョンキャピタルグループ 」。

「ジャパンインベストメントアドバイザーが2023年に発表した中期経営計画は意欲的で、そのとおりに進むと2025年12月期の当期純利益は105億円となり、予想PERは約9倍となる計算です(2025年2月10日時点)」(DAIBOUCHOUさん)

今回のアンケートで最多となる10銘柄を教えてくれたDAIBOUCHOUさんからは、以下の2社も。

「システム開発の「 NCD 」はストック性が高いSIer事業と、駐輪代値上げで収益性が高まる駐輪場DX事業の成長性に期待。株価は上昇していますが、まだ割安感があります。傘下のグループ企業がパチンコ機などを製造する「 円谷フィールズHD 」は昨年ウルトラマンのカードゲームを発売し、パチンコ機種も堅調。期待しています」(DAIBOUCHOUさん)

成長分野で将来性が高い企業

AIやドローン、ビッグデータといった成長分野の企業名も挙げられました。

「POS※などのビッグデータ解析ツールを提供する「 True Data 」は伊藤忠商事とPOSデータについて提携しました。業界大手のデータを取り扱うことより増収増益に弾みがつきそう。要注目です」(愛鷹さん)

※コンビニやスーパーなど、小売業で採用されている商品管理システムのこと

トヨタ自動車 」には自動運転向けAIで動きがありました。

「自動車産業は10年サイクルに従えば2027年秋ごろまでは好調の見通し。トヨタ自動車は中国の市況こそ悪いものの、アメリカでのハイブリッド車は堅調な販売になると予想。NVIDIAがトヨタ向けに次世代車の先進運転支援システムを卸すとの報道もあり、期待しています」(ちょる子さん)

ちょる子さんが他にも注目するのは、ドローンの運航管理システムを提供する「 Terra Drone 」。

「テラドローンは『ドローンサービス企業 世界ランキング2024』で産業用ドローンサービス企業として世界1位を獲得しました。設備投資段階でまだ赤字ですが、ドローン産業の広がりとともに回収できるはず。目先の決算はそこまでよくないでしょうが、今後伸びていくと予想」(ちょる子さん)

億り人さんのアンテナにひっかかっている銘柄を教えてもらいましたが、いかがでしたか? 興味のある銘柄がありましたら、ご自身でも調べて、投資を検討してみましょう。

記事執筆時点で、AIフュージョンキャピタルグループ(254A)は金融商品取引所の日々公表銘柄、Terra Drone(278A)は同増担保銘柄に指定されています。
次回は3/12(水)配信予定です。