[しっかりおさらい]株式投資の「基本の考え方」と「選び方」

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書/ クロスメディア・パブリッシング武田 拓也

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、株式投資の「基本的な考え方」から「選び方のポイント」まで、大学や事業団体で年間100回以上のセミナーに登壇するFPの武田拓也さんとおさらいします。[PR]

株式投資のメリットとリスク

株式投資には、次のようなメリットやリスクがあります。これは長期保有したい人、短期売買をしたい人、どちらにも当てはまります

メリット① 株主優待を得られる

日本株を買うと、配当金とは別に投資した企業の商品やサービスの株主優待を受けられる場合があります。内容はお米やギフト券、産地の特産品などさまざまです。配当金に加えて株主優待を狙って株を取得する人もたくさんいます。

私も、大手スーパーのイオン株を保有しています。系列スーパーで買い物をすると、購入金額の3~7%がキャッシュバックされます。還元率は、株の保有数によって異なります。また、イオンシネマでは優待価格で映画を観られたり、ポップコーンが無料でもらえたりするので、子供たちは大喜びです。

インターネットで「株主優待」と検索すると、会社によってどのような優待が受けられるのかがわかる「まとめサイト」がたくさんあるので、参照してみてください。

メリット② 株主総会に参加できる

株主総会では、その業界の最新情報や会社の方針などを、会社の経営陣がわかりやすく説明してくれます。その場で経営陣に直接質問をすることもできる貴重な機会であり、知識をさらに深めることができます。

これは一度は参加してほしいと思います。株主総会は、自社ビルや豪華なホテルで行われることがほとんどです。勉強になるのはもちろんですが、非日常的な空間も魅力的です。お土産がもらえることもあるので、ぜひ足を運んでみてください。

リスク 会社が倒産したら価値がなくなる

株式投資は、「外貨預金」「不動産投資」「投資信託」と比較してリスクが高くなります。滅多にないことではありますが、株を購入した会社が倒産してしまったら、そのお金を丸々失うことになります。

私も過去に苦い経験をしたことがあります。株式投資を始めたばかりの頃、ある本を読んで「バリュー投資が良い」ということを知りました。バリュー投資とは、ひと言で言えば「本来の企業価値と比較して株価が割安な銘柄に投資をする手法」です。

一般的には、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)という指標を用いて判断します。本には「この値が低いものに投資すれば良い」とあり、私はそれを鵜呑みにして株を購入しました。

すると、6つ所有していたはずの銘柄がある日5つに減り、しばらくすると「会社更生法適用」という知らせが届きました。事業に失敗し、企業の再建を予定していることを意味し、事実上の倒産です。株の価値はなくなったも同然です。

当時の私は会社員で、ボーナスの30万円を複数の銘柄に投資していましたが、およそ5万円の損失でした。投資を始めたばかりの頃で、非常にショックを受けました。

もちろん、バリュー投資自体に問題があるのではありません。自分がよく知らない会社の株を買うときには、多角的な分析が必要で、「もっと勉強しなければ」と痛感した出来事です。その後、倒産しない会社の基準として「有利子負債」がゼロの会社を選ぶことを知りました。

投資を始めたばかりで損が出てしまうと、投資自体が嫌になってしまいかねません。まずは次に説明するような、安定した企業の株を買うようにしましょう。

銘柄の選び方① 「好きな会社」「有名な企業」の株を買う

株式投資も、外貨預金や投資信託と同様、「分散投資」が基本です。

たとえば、為替の影響によって値動きが違う輸出企業と輸入企業、両方の銘柄を買うのも良いでしょう。また、景気に敏感なITの会社と、景気の影響を受けにくい水道、ガス、電気などのインフラ系の株を持つといったことも効果的です。

ただ、最初は、なるべくリスクの低い銘柄を選びましょう。選ぶ基準として、ひとつは「自分の好きな会社」「有名な企業」という視点があります。「そんなに適当でいいのか」と思われるかもしれませんが、こうした株を買うことには、いくつかメリットがあります。

まず、その会社や商品に普段から慣れ親しんでいるため、ほかの会社よりも情報を入手しやすくなります。新商品が発売されるなど、株価が上がりそうなタイミングに素早く反応でき、株を売ったり、新たに買い足したりといった判断ができるでしょう。加えて、そのような会社には自分以外にもファンがたくさんいます。余程のことがない限り、倒産して価値がゼロになることはないでしょう。

また、自分が興味のある業界の株を買うのも良いでしょう。株価が上下したときも、その理由が理解しやすいからです。

ただ、これだけでは判断に迷う部分もあるかと思います。銘柄を選ぶ際のより詳しいポイントを説明しますので、参考にしてください。

銘柄の選び方② 手堅くお金を増やす銘柄のポイント

①成長性

この企業は今後も成長を続けるか」をチェックします。会社が大きくなったほうが、当然、株価も上がります。そのためには、投資したい会社が「この先の時代のニーズに合っているか」を考えます。たとえばご自身の好きな会社・商品が「時代錯誤ではないか」「この先も求められる商品・サービスなのか」、ひとりの消費者として向き合ってみましょう。

②独自性

有名な企業という基準も大切ですが、「ニッチな会社」にも需要があります。これが銘柄を選ぶ2つ目のポイント、「独自性」です。

「シマノ」という会社をご存じでしょうか。大阪府堺市にある自転車部品・釣り用品の会社で、一般的にはあまり知られていないのですが、自転車の変速機とブレーキ部品のシェアは世界1位の会社です。コロナ禍でサイクリング需要が増えたこともあり、一時期は株価が2年で2倍に上昇していました。現在は落ち着いていますが、まだコロナ禍前より高い株価を維持しています。

③タイミング

同じ銘柄であっても、買うタイミングによって結果は大きく変わります。「ファンダメンタル分析」や「テクニカル分析」という分析法を用いて、買う銘柄やタイミングを判断する方法もあります。1つの分析手法のみで判断するのは避けたほうが良いですが、迷ったときの一助にしてみてください。

④自己資本比率

財務の健全性も重要です。自己資本比率が高いということは、借金が少ない状態です。景気が多少悪化しても、安心して株を保有し続けられます。ひとつの指標としては、自己資本比率40%以上と考えてください。

⑤創業社長

自ら会社をつくって上場させた創業社長には、パワーがあります。これから先も成長が期待できるでしょう。それに、社長自身も自社の大株主になっているケースが多数です。株価が上がれば社長も利益を得られるので、積極的に事業を育てていこうとする傾向があります。

⑥営業利益

株式会社の目的のひとつは、利益を上げることです。営業利益が年々増加傾向にある会社は、順調に経営がされていると判断できます。しっかり利益を確保できていると株価も上がりやすくなるので、四季報などでチェックしましょう。

⑦投資信託

投資信託で扱われている銘柄を選ぶ方法もあります。「投資信託が購入している=プロが選んでいる」ということになるので、迷った際は参考にしてみましょう。

⑧新規上場株

新規上場株式(新規公開株式)とは、未上場企業が証券取引所に新たに上場し、初めて発行する株のことをいいます。本来の価格よりも割安で売り出され、過去の事例では40~50%ほど値上がりしています。購入後に株価が上がることが高い確率で見込まれるため、人気の銘柄です。

ただし、購入できるかどうかは抽選で決められます。複数の証券口座から申し込みを行うことで、当選の確率を上げることができます。また、公開直後に売る人が多いので、持ち続けていると、次第に株価が下がってしまうことがあります。もし入手できたら、なるべく早く売却して利益を確保することも選択肢のひとつです。

⑨慣れてきたら外国株

初心者の方は、基本的に情報の得やすい日本の株を買いましょう。株の基本を押さえたら、外国株に挑戦してみるのも良いでしょう。

たとえば米国株は1株から買うことができるので、日本株と比較すると少額で投資を始められます。中には、数千円単位で取得可能なものもあります。

外国の株は日本株に比べて情報が少ないので、選ぶのはなかなか難しかったのですが、最近では書籍やYouTubeなどで知ることのできる外国株の情報も増えてきました。「お勧め銘柄」なども解説されているので、その中からまずは1株買ってみてもいいかもしれません。

 

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