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日本企業は3月末本決算が多いですね。日本株投資をしていれば、3月末は株主優待や配当の権利を意識する方が多いと思います。そんなわけで今月は日本株の配当に着目した株式インデックスである「東証配当フォーカス100指数」をご紹介します。
高配当の優等生集団
「東証配当フォーカス100指数」は2010年3月に算出を開始していて、15年ぐらいの歴史があります。
TOPIX1000及び東証 REIT指数の構成銘柄を母集団とし、四半期ごとに安定的に配当の獲得を目指すことを目的として選定された100銘柄によって構成されています。TOPIX1000という言葉になじみがないかもしれませんから、少し解説しておきましょう。TOPIXについては、以前こちらの連載でご紹介していました。”Tokyo Stock Price Index”の略で、「東証株価指数」と呼ばれます。東京証券取引所(以下:東証)が毎営業日に1秒間隔で算出・発表している株価指数で、日経平均株価と同じように日本経済の動向を表す重要な株価指数です。時価総額加重平均型です。
TOPIXを構成する銘柄は約1,700銘柄です。その1,700銘柄は流動性と時価総額によってさらに属性がつけられ、以下の表のように分類されています。TOPIX1000はCore30+Large70+Mid400+TOPIX Small500で構成されます。
東証REIT指数は東証に上場するREIT全銘柄で構成されます。2025年1月末時点では57銘柄で構成されます。こちらも時価総額加重平均型指数です。
東証配当フォーカス100指数の銘柄選定のキーになるのは決算期です。3の倍数の月が決算期になっている銘柄を対象としているわけです。確かに日本には3月決算企業が最も多く、次に多いのが12月決算です。TOPIX1000と東証REIT指数の多くの銘柄が3の倍数月決算に該当するでしょう。決算期によって該当銘柄を以下の図に示した5つのグループに区分します。ポートフォリオ1~4はさらに、予想配当利回りで分類し、配当利回りと時価総額が高い順にポートフォリオ1と2から45銘柄ずつ、3と4から5銘柄ずつを選択します。ポートフォリオ5に該当する銘柄は東証配当フォーカス100指数に採用されません。銘柄選定に使用する予想配当利回りはTOPIX 1000 の構成銘柄については東洋経済新報社の予想配当データ、東証 REIT 指数の構成銘柄については会社予想の予想分配金データが用いられます。
銘柄入替は毎年1月と7月に実施されます。2025年1月末現在では100銘柄で構成されています。原則として100銘柄を選定しますが、選定結果が100銘柄に満たないこともあります。直近は2025年1月末に銘柄入替が実施されていて、19銘柄が採用され、18銘柄が除外されています。予想配当利回りが銘柄選定の重要なファクターですから、配当予想が下方修正されると構成銘柄から除外されやすいという性格を持つインデックスです。
著名な高配当銘柄で構成される
2025年1月末時点のウエイト上位10銘柄がこちらです。
1位の「
キヤノン
」、2位の「
日本たばこ産業
」などは高配当利回りで個人投資家にもよく知られた銘柄です。上位10銘柄に金融グループが3社入っているのも特徴です。100銘柄で構成されますが、ウエイト上位5銘柄だけでも全体の30%以上を占めます。減配や無配への配当予想修正は株価へネガティブに寄与する傾向があります。この指数のウエイト上位銘柄にそのような予想変更があると、インデックスの値にマイナス寄与するでしょう。逆もまたしかりで、ウエイト上位銘柄に配当予想の上方修正があり、投資家が好感して当該銘柄の株価が上昇すれば、インデックスの値にプラス寄与しそうです。
15年で約3倍に
チャートを確認しましょう。「東証配当フォーカス100指数」は2010年2月26日に1,000でスタートしています。約15年で約3倍になり、配当込みではTOPIX(配当込み)を上回るパフォーマンスとなっています。この15年の間には、東日本大震災後の株式市場の低迷や、コロナショックがあり、その都度「東証配当フォーカス100指数」も大きく下落しましたが、2020年春以降はおおむね順調に右肩上がりになっています。
四半期ごとに分配金が出るETFも
「東証配当フォーカス100指数」への連動を目指すETFがあります。「 上場インデックスファンド日本高配当 」(東証配当フォーカス100)です。2010年5月に設定されていますから、「東証配当フォーカス100指数」が誕生してすぐに設定されていますね。
年に4回、1月、4月、7月、10月の各8日が決算日で、決算ごとにコンスタントに分配金を出しています。直近1年の分配金利回りは3.33%(2025/2/26時点、直近年間分配金100円、株価3001円)です。通常の取引単位は10口単位ですので、おおよそ3万円程度が必要ですが、「上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100)」はフロッギーでも取引できますから、100円で取引できます。毎営業日100円ずつ購入して、年4回分配金というお小遣いをもらうような1コイン投資もできますね。NISAの成長投資枠で購入すれば、分配金への課税もありません。なお同ETFは2025年4月9日から取引単位を1口単位とすることを発表しています。
「東証配当フォーカス100指数」のもう一つの使い道
株式投資の目的として配当を重視する場合、どのように銘柄選択をしていますか? 予想配当利回りを用いたスクリーニング結果を使うでしょうか。それも一つの方法ですね。筆者なら、「東証配当フォーカス100指数」のような配当に着目した指数を構成する銘柄に着目します。インデックスを運営する主体がふるいにかけてくれている結果を用いるという少し楽をできる手段です。東証のwebsiteでは「東証配当フォーカス100指数」に採用されている全銘柄を公表しています。ウエイト上位10銘柄以外の構成銘柄が何なのか興味が沸いた方は確認してみるといいでしょう。
高配当利回り銘柄はその業績と株価の推移に着目したいです。配当利回りは1株あたり予想配当金を株価で除して算出します。予想配当が変わらないとき、株価が下落すると配当利回りが上昇する値です。高い配当利回りが株価の下落でもたらされている可能性があります。よって、インデックスに採用されている銘柄の株価や業績見通しをさらに吟味してから取引するといいでしょう。