株式市場で「ドローン(小型無人機)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は13.1%と、東証株価指数(TOPIX、3.9%)を上回りました(3月21日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
防衛向けの需要拡大への思惑高まる
上昇のきっかけは、産業用ドローンの製造販売などを手掛けるACSLが防衛装備庁の大型案件を受注したことです。受注額は約3億5000万円で、小型空撮機体「SOTEN(蒼天)」を12月に納入します。同社は2024年3月にも防衛省の航空自衛隊に空撮用ドローンが採用されたと発表しています。
政府は安保関連3文書でドローンなどの「無人アセット防衛能力」を柱のひとつに据えており、防衛省や自衛隊は25年度から5年間で約1兆円をドローン配備などに投じる予定です。
足元では地政学リスクの高まりなどを受け、日本や欧州各国が防衛費を増額させるとの思惑がくすぶっています。ACSLの大型受注を受け、ドローン関連銘柄全体に需要拡大を期待した物色が向かいました。
黒字転換見通しも発表【ACSL】
上昇率首位の「 ACSL 」は大型受注以外にも、19日に2025年12月期の連結最終損益が3000万円の黒字(前期は23億7100万円の赤字)に転換しそうだと発表しました。売上高は前期比1.9倍の51億円を見込んでいます。
経済安全保障への意識の高まりを受け、米国で脱中国製ドローンの採用が進むなど国内外で需要が拡大する見通しです。日本や欧州などの防衛費が上振れすれば、さらなる成長が期待できそうです。
インフラ点検にも活用【ブルーイノベーション】
上昇率2位の「 ブルーイノベーション 」はドローンによる発電所や送電線、上下水管、工場などの点検や監視などを手掛けています。埼玉県八潮市で1月に発生した道路陥没事故の現場でも、ドローンを活用した下水管内の調査を担いました。
インフラ設備の老朽化は社会問題化しており、防衛以外にも需要の拡大が見込まれます。
ドローンの需要拡大で成長期待
「 テラドローン 」はドローンを活用した測量や災害復旧、農業支援などを展開するほか、「空飛ぶクルマ」の産業化などに役立てようとドローンを運航管理するプラットフォーム開発なども進めています。
「 ミライト・ワン 」はドローンや関連機材の販売やリースなどを手掛けています。
「 セーフィー 」はドローンで撮影した映像をリアルタイムで確認できるサービス「セーフィー・コネクト」を手掛けています。いずれの銘柄もドローンの需要が拡大すれば、成長期待が高まりそうです。
幅広い場面での活躍が想定
防衛やインフラの点検以外に、災害時の状況把握などでもドローンの活用は進んでいます。JR東日本新潟支社が21日、豪雨などの被害状況の把握にドローンを活用する方針を明らかにしたほか、複数企業が合同で首都高での夜間の災害に備えた実証実験をしました。
幅広い場面での活躍が想定されるドローン関連銘柄に対する期待は今後も高まりそうです。