今回ご紹介する株式指数は「日経平均高配当株50指数」です。「何なに? 日経平均は聞いたことがあるな。ん? そのあとにまだ文字が続いている……」と思われたでしょうか。では「日経平均高配当株50指数」を「日経平均株価」と比較しながら確認してみましょう。
日本を代表する株式指数をさらに「配当利回り」で厳選
日本株を代表する株式指数の一つに「日経平均株価」があります。この連載で最初にご紹介した株式指数です。225銘柄で構成されていましたね。今回ご紹介する「日経平均高配当株50指数」は、日経平均株価を構成する225銘柄から配当利回りが高い50銘柄で構成されます。日本株を代表する株式指数をさらに「配当利回り」という要素で絞り込んだと理解してください。2017年1月10日に算出を開始しています。指数値は2001年12月28日まで遡及して算出されています。
日経平均株価の構成銘柄を対象に、毎年5月の最終証券営業日を基準日とした場合の基準日時点の「予想配当利回りランキング」を次の1〜3の優先順位で、予想配当利回りが高い順から50銘柄を選定します。なお、予想配当利回りに用いられる予想配当は「日経会社情報」の予想です。予想配当利回りが同じになった場合は、直近1年間の1日あたり平均売買代金が高い方を優先するという「流動性重視」ルールがあります。
2)現在採用銘柄で予想配当利回りが100位以内の銘柄
3)「日経平均高配当株50指数」に未採用の銘柄
なお、以下のいずれかに該当する銘柄は採用されません。
・3期連続最終赤字
・期末予想が無配
・株価が著しく下落するなどの特別な事情により予想配当利回りのランキングが高くなった
「日経平均株価」は、流動性とセクターバランスを採用基準にしている株式指数でしたが、「日経平均高配当株50指数」は「予想配当利回り」の高さが採用基準ですので、配当を出せること、ひいてはその原資となるであろう利益をきちんと出せることにもフォーカスが当たっています。
ですから、選ばれても次の定期見直しまで残留が保証されているわけではありません。3月から5月までの3ヵ月間を除いた毎月の最終営業日時点で配当予想がゼロ(無配)になった銘柄は、翌月の第7証券営業日に除外されます。このほかにも採用銘柄に上場廃止等があれば、50銘柄ではなくなりますが、45銘柄を下回らない限り、臨時補充はされません。年1回の定期見直しは6月末で、2週間程度前に銘柄入替が発表されます。
ウエートを決める大きな要素は「予想配当利回り」
「日経平均株価」は株価の単純平均で算出されます。つまり、ざっくり言えば1株あたりの株価が高い銘柄が高いウエートを占める株式指数でした。一方「日経平均高配当株50指数」は以下のように算出されます。
最初のΣは合計という意味です。除数は「日経平均株価」にもありましたね。銘柄入替や株式分割・併合等が採用銘柄にあった場合に、指数の連続性を維持するために使われる値です。
銘柄を入れ替えた時を想定しましょう。分子にあたる株価合計が、除外銘柄と採用銘柄の株価の差だけ変わります。つまり、すべての銘柄の値動きが全くなかったとしても、入れ替えられた銘柄の分だけ分子の値が変化します。分母である除数を変化させないと、値動きがないのに指数が変化します。これは、おかしな話です。このような不連続に対応するため、分母にあたる「除数」を修正することで指数としての連続性を維持しているのです。
見慣れないものは「ウエート・ファクター」です。こちらの式で算出される値です。
ウエート・ファクターは「日経平均高配当株50指数」を構成する銘柄が指数に占める割合を「予想配当利回り」だけで決めるのではなく、売買代金の規模も考慮して決めていることを示すものです。最初の方に記したように「流動性重視」の要素がウエートの決定にも加味されていると理解すればいいでしょう。
要素の意味を確認しましょう。
1)予想配当利回り
基準日時点における通期予想配当÷株価×100で算出し、%換算されます。1銘柄当たりの上限は5%と決まっていて、5%超になる場合は、5%として扱われます。
2)流動性係数
直近1年間の1日あたり平均売買代金をランキングし、順位によってそれぞれ以下の表に示した値が用いられます。つまるところ、平均売買代金が多ければ流動性係数が高くなります。なお、特定の銘柄のウエートが5%を超える場合は、5%以内に収まるようにウエート・ファクターが調整されます。
22年春以降、日経平均をアウトパフォームする傾向
パフォーマンスも「日経平均株価」と比較してみます。こちらは2020年1月を100とした時の両指数の推移です。
2022年の春を境にして、日経平均株価より優位に推移しています。この年の4月に東証の市場再編がありました。さらに、2023年3月には東証が上場企業に対して、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて改善を要請し、企業価値向上への取り組みを求めました。これらをきっかけに株主還元を強化する企業が相次ぎ、その一環として増配を実施した企業がたくさんありました。「日経平均高配当株50指数」が優位に推移し続けている理由の一つでしょう。
さらに、特筆すべきことがあります。日経平均株価と比較して高リターン・低リスクなのです。こちらの図の「標準偏差」がいわゆるリスクと呼ばれるもので、値動きの大きさとでも理解してください。その標準偏差が日経平均株価よりも低いことがわかります。一般的には高いリターンを求めるとリスクも高くなる傾向があります。そんな中、あくまでも相対的な比較ですがリターンが高く、リスクが低いのはうれしい株式指数です。
ウエート上位10銘柄はこちらの通りです。金融株が多いのは、前回ご紹介した「
上場インデックスファンド日本高配当
」(東証配当フォーカス100)と似た特徴です。
もちろんフロッギーで買える
「日経平均高配当株50指数」に連動した東証ETFがあります。「 NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 」です。年4回分配を実施していて、直近の分配金利回りは4.22%です(年間累計配当金:87円、4/11終値:2060円)。NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信は1口単位で取引が可能で、現在2000円程度で購入できますが、フロッギーなら100円から取引できます。
「東証配当フォーカス100」は100銘柄でREITも含まれる構成でしたが、ウエート上位が占める割合が高い株式指数でした。今回ご紹介した「日経平均高配当株50指数」は銘柄数は少ないですが、1銘柄当たりのウエートに上限を持たせることで、うまく分散されている印象です。どちらがいいか迷ったら、どちらも100円ずつ買ってみるということができるのもフロッギーの良さです。
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