カップ麺が栄養満点!? 「完全メシ」で食事を最適化

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健康志向の高まりなどを背景に、「完全栄養食」や「個別最適化食」への関心が高まっています。
「完全栄養食」とは、簡単・効率的に必要な栄養素を取り入れることができる食事。「個別最適化食」とは、個人の体質などに合わせて提案された食事です。

今回は、完全栄養食「完全メシ」を展開する日清食品ホールディングスを中心に各社の動向をご紹介します。

おなじみのインスタント食品で簡単に栄養を摂取

日清食HD 」は4月、1869年創業の老舗パンメーカーである木村屋總本店と共同開発した新商品「完全メシ 抹茶あんぱん」を発売しました。

この“あんぱん”は、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」で定めたビタミンやミネラルなど1食あたりに必要とされる33種の栄養素をバランスよく摂取することができるうえに伝統のおいしさそのままに味わえるのがウリの商品です。

完全栄養食とは

一般的に厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を参考に、1食あたりに必要とされる栄養素を1つの食品で満たすもの

同社が展開する「完全メシ」は2022年5月の販売開始以降、およそ3年でシリーズ累計4000万食(3月31日時点)を突破する人気商品となっています。

人気の背景には、「日清焼そばU.F.O.」に代表される即席麺やカップライス、スープ、冷凍食品など、日常生活で馴染みのあるインスタント食品を栄養バランスよく、普段と変わらない味わいで食べられる利便性があります。

例えば、「完全メシ カレーメシ欧風カレー」の場合、普通のカレーメシに比べて約3倍弱のたんぱく質をとることができます。

「完全メシ」の売上高は22年度に30億円、23年度に50億円を達成。24年度は70億円を計画しています。新商品やリニューアル商品を順次投入し、25年度には売上高100億円の大台突破を目指しています。

完全栄養食に専業で取り組むベースフードのような企業も登場しています。ベースフードの商品では26種のビタミンやたんぱく質、食物繊維など、必要な栄養素が1食分で1日の3分の1摂取できるよう設計されています。パンやクッキーのほか、即席麺、冷凍パスタなど品揃えを強化しています。25年に発売したカップ麺「BASE YAKISOBA」シリーズは累計販売数が100万個を達成しました。

化粧品大手「 ポーラ・オルビスホールディングス 」傘下のオルビスは完全食のおにぎり「COCOMOGU(ココモグ)」を専用のオンラインストアで販売しています。1食(おにぎり2個)に30種類以上の栄養素が含まれているそうです。

それぞれの体質に合わせた「個別最適化」の動きも

必要な栄養素を簡単に摂取できる「完全栄養食」から一歩進み、個人の体質やライフスタイルに合わせて、必要な栄養素や食事量などを決める「個別最適化食」も登場しています。

明治ホールディングス 」は24年12月、個人の腸内細菌を測定し、それぞれの腸内タイプに合わせた素材を配合したココア飲料を提供する「Inner Garden(インナーガーデン)」を始めました。

カルビー 」は1人暮らしの人をメインターゲットに、食事バランスの傾向や活動量に関する12のウェブ質問結果から個人に最適化した常温レトルト食品を定期的に届ける「OMA MESI(おまめし)」を23年から展開しています。

味の素 」はAI(人工知能)を活用した献立提案サービス「未来献立」を提供しています。独自開発の栄養評価アルゴリズムとレシピデータを組み合わせ、栄養バランスに配慮した献立を最大8日分無料で作成するもので、管理栄養士の役割をAIが担ってくれます。

栄養バランスのいい食事をとるためのアイデアは今後もますます多様化していきそうです。

※ベースフードは金融商品取引所の増担保銘柄および証券金融会社の貸株制限・停止銘柄に指定されています。