年1時間で億になる投資の正解

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

市場の調整には「何もしない」が正解? 著者の実体験と膨大な取材を元に、ほったらかし投資の極意を学びます。暴落時のメンタル対策にも心強い一冊。

取引は少ない方が資産が増える? ほったらかしETFの極意

タイトルの答えを先にお伝えしましょう。「万人に勧められるのは、指数連動型のインデックスファンドやETF」です。投資に慣れてくると「市場以上のリターンを上げたい」「もっとキラキラした株を買った方がいいのでは?」「短期売買に挑戦してみては?」などと誘惑にかられるものですが、この作戦、ほとんどの人にとっては悪手なのだそう。

相場を動かしそうな主要ニュースや専門家の予測をチェックするのは良さそうに見えますが「情報収集=投資の勝因」にあらず。むしろ、莫大な資産を築いた投資家は「成功できたのは市場を無視したから。特に短期の市場予測はドラッグのようなもので絶対に影響を受けてはならない」と語っています。

専門家の予測が当たる確率はコイン投げよりも低く、そもそも運用資産は頻繁に取引するほど、石けんのように減っていくのが通例なのだとか(デイトレはもってのほかで、カジノよりもリスクが高いのだそう!)。リスクは最小限で時間も掛からない、投資のベストは「指数連動ETFを買ってあとは放置」という結論になります。

とはいえ、昨今の乱高下では「売ってしまった方がいいのでは!?」とパニックになる人も多いでしょう。本書は暴落時のデータにも詳しく、インデックスの代表選手S&P500でも、過去100年では平均して年に3回は5%下落していることを明示。さらに言えば16ヵ月に一度は10%下落し、7年に一度は20%下落しています。

頻度はさほど多くありませんが、読者にとって響くフレーズはこの先のはず。「10%下落しても、底を打った1年後には平均24%以上上昇している」。S&P500は小さな下落を頻繁に繰り返しながらも、100年間を通して見れば右肩上がりの成長を続けています。

いわく「短期間で大儲けした!」といった話は「マラソンの10キロ地点でトップに出る方法を見つけた」程度の話にすぎない、と。われわれが目指すべきはもっと長期で、レース途中で息切れしたらせっかくの資産運用が台無しになってしまう、とも。至言も多く、読み物としても楽しめます。